第1496話 【エピローグオブ南雲の第2回ネオ国協の理事探し・その7】好奇心旺盛なお姫様を即ゲット!! ~あと1人や!! これは驚異的なペースやでな!!~

 雨宮順平元上級監察官。

 彼は六駆くんとほぼ時を同じくして隠居をキメている。

 六駆くんと違う点は色々とあるが、最たるものはやはり「別に隠居するつもりなかったけど、なんか成り行きでそうなった」という点だろうか。


 当人は「あららー。まあそれも人生だよねー」と19歳の嫁さんもらって異世界の国王に就任。

 異世界の国王という文字列からは「ああ。2度と現世には戻れないのか。それならおっぱいデカい19歳のお姫様と結婚しても、まあ……」という、ギリギリ納得できるような気配をほんのりと醸し出しているが、その実、呉に繋がる異界の穴が普通に空いているのでダンジョンを踏破せずとも割と普通に現世への行き来は可能。


 そうなってくると、40半ばの不良中年がすっげぇ年の差婚をキメて、ついでに仕事も辞めて、全ての責任から解き放たれて隠居生活に突入しただけ。

 しかも雨宮おじさん、趣味はちょいと活きの良いおっぱいを摘まむことくらいのもので、その支出も大半は「えー? いいんですか? 毎回申し訳ないなぁ。ごちそうさまですー。川端さん!!」と盟友に出してもらっていたので貯金は引くほど持っている。


 老後は2千万貯蓄がないと生活できねぇという発言がどこかの現世で物議を醸した事もあったが、その論調でいけば雨宮さんは老後があと100年あっても余裕である。

 今さらながらに探索員の給料、そしてその組織の頂点である上級監察官の手当の凄まじさを思い知られるというもの。

 その分激務なのだが、雨宮おじさんはちゃんと激務だっただろうか。少し疑問である。


 そんなピュグリバーの国王の日課は、3日に1度くらいのペースで王宮の近くにある湖に向かい釣り糸を垂らしてぼんやりする事。

 太公望だろうか。


「あららー。なんか今日は大物がたくさん釣れちゃうねー。怖い怖い! こういう時って帰ったらエヴァちゃんが、どうして私もお連れくださらないのですか!! とかねー、怒ってたりするのよねー。もうしばらくゆっくりしようかなー」


 国王になっての隠居生活もそろそろ1年が経とうとしており、危機意識が低下していた雨宮さん。

 氏の煌気オーラ感知の精度は極めて鋭いのだが、相手がノアちゃんの『ホール』だった事も災いしていた。


 あの穴は急に空いて急に閉じるので目の前で発現されても煌気オーラ感知は難しい。

 王宮に団体客が到着して既に5分。


 雨宮さん、何も知らずに釣りを続行していた。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 その頃のピュグリバー王宮。


「そう言う訳でして。エヴァンジェリン様。異世界と現世の均衡を保つとても崇高な役割を担って頂くのは貴女のような未来ある女性であるべきだと私どもは考えている次第です。どうでしょうか。ご一考頂けますと」



「そうなのですか!? じゃあ、やります!!」

「えっ!?」


 エヴァちゃん、快諾。

 要請した南雲さんが困惑した。



 お忘れの方のためのピュグリバーのお国柄。

 ここの国民は基本的に人を疑わず、相手の行動や発言は全て善意と判定されてからのスタート。

 交渉などは存在しないに等しく、お願いされたら「いいですよ」が基本。


 なにせ若い頃の逆神大吾が英雄として奉られ、希少なイドクロア製の像が国中のそこかしこに建っていたのである。

 それだけならまだ分からないでもないが、その像を建造したのは当時の王女様であるアナスタシアさんを大吾が嫁にして、ついでに現世へと掻っ攫って行ったあとの事。


 とんでもなくお人好しな国民性がピュグリバーの売りなのだ。

 その王家の血族、遠縁ではあるがアナスタシア母ちゃんの血筋であるエヴァンジェリン姫。


 二つ返事をキメる。


「あ、あの……。エヴァンジェリン姫?」

「仁香様!! 私のために心配してくださるんですか!? ならばそのお心遣いに応えなくてはなりませんね!! エヴァンジェリン、頑張ります!!」


 胸の前で手をギュっと握って「やります!!」と意思表明。

 仁香すわぁんの放っておけないメーターが振り切れた瞬間であった。


「南雲さん!! 私、良くないと思います! こういうの!!」

「ええ……。青山くんが意見してくれたんじゃないか。男女比率に偏りがあるよって」


「ですけど!! こんなやり方、間違っています!! 成人年齢が下がったからって10代の女の子に親御さんの同意なしでいかがわしい事をさせる手法じゃないですか!!」

「人聞きの悪い!! だって雨宮さんいらっしゃらないんだから仕方ないじゃない!!」


 六駆くんが傍に控えているバーバラ摂政おばあ様に問う。

 国王陛下を呼んでもいいですかと。

 というか、傍で控えているにも関わらずエヴァちゃんネオ国協入りを止めようとしないおばあ様にもいささか問題はあるような気もするが、こちらのバーバラさんも弱っていたところを雨宮さんに救ってもらっており、人を信じる心はバリバリ現役。


 信じていないのは「逆神大吾様は多分ですが、英雄ではありませんでしたね」という事だけであり、その初めて生まれた猜疑心から発足したのが戦う乙女の集団、バーバラ武闘団である。


「あの! ちょっと軽くふぅぅぅんしても良いですか!?」

「はい。よろしゅうございますよ。六駆様のふぅぅぅんからはアナスタシア様の煌気オーラのなごりを感じられるので、国の者も皆が喜びます」


 国の者に喜ばれるふぅぅぅんを六駆くんがキメた。

 南雲さんは「あ。これってピュグリバーにいる時に限っては音の大きな呼び鈴みたいなものなのか。便利だなぁ」と珍しく穏やかな面持ちであった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 湖では雨宮さんが釣竿を引っ込めていた。

 近衛兵乙女のリィラちゃんがケースを差し出して「もうお戻りですか?」と問う。


「そうだねー。おじさんも耄碌してきたかもしれないねー。仮に逆神くんが大吾さんのような心を持っていたらさー。今の瞬間にピュグリバー滅ぼされてたもん。おじさん、反省だよー。あららー」


 雨宮さんのウキウキ隠居気分にも喝。

 気を引き締めよと警告する、親戚のおじさん。見た目は親戚の大学生。

 名を逆神六駆。


 雨宮さんがすごい速さで王宮に戻った。

 普段の国王のスピードに慣れていたリィラちゃんは置き去りにされたという。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 それから1時間後。


「あらららー。エヴァちゃんすっかりやる気だし、もうこの流れでヤメなさいって言うのかわいそうだよねー」

「ノア様のお言葉を借りますと、私! ふんすです!!」


 これにはノアちゃんもにっこり。

 ずっとスマホを構えているのでボクっ子は口数が少なくなっております。


「まあ名誉職的なものですから。いざとなったら雨宮さんにご助力頂けるように場を慣らしておきますし」

「あららー。南雲くんったら、ここに来ていやらしい戦法を取るんだからー。まあ川端さんがいるなら全部お任せしとけばいいかー」


 おわかりいただけただろうか。

 雨宮さんが川端さんに寄せる信頼感。

 それはかなり大きい。


 そう。彼らの愛するおっぱいのように、ね。


 同じストウェアで長らく海外勤務をこなし、その後は同じチームでアトミルカ戦役へと身を投じ、ピース侵攻に際して共にストウェアを奪われたりもした。

 バルリテロリ戦争の際には所属こそ違ったが、最終盤では一緒にピュアドレスちゃんの胸部に綿を詰めた仲。

 だから知っているのだ。


 川端さんはおっぱいに対して過保護であると同時に、おっぱいの自主性を尊重する男。


 幼な妻を預けるのにここまで信頼に足る男爵もいない。


「エヴァンジェリン姫!! 何かあれば私に言ってくださいね!!」

「ありがとうございます! 仁香様!!」


 そしてストウェアトリオを形成していた雨宮、川端、水戸の監察官三本柱は解体されたが、今は宿六みとくんの名代みたいになってしまった仁香すわぁんもいる。

 こんなに放っておけない女の子もなかなかいないのでいざとなったら彼女がすぐに立ち上がるだろう。


 こうしてとてもスムーズに枠が埋まった。


 理事兼ビッグボイン。エヴァンジェリン・ピュグリバー。

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