第1443話 【エピローグオブチーム莉子のお買い物・その1】イオンに行くぞ! チーム莉子!! ~出発編~

 未だ季節は10月上旬。

 本日は土曜日。

 学生組はお休みであり、小鳩さんも任務は入っていないので今朝のミンスティラリア魔王城はのんびりまったり。


 午前8時過ぎ。

 遅めの朝食を済ませた六駆くんが新聞を読んでいると、ふと思いついたように、と言うか多分たった今思い付いたの事を口に出した。


「そういえば日須美市のイオンでセールやってるらしいですよ。一昨日、日本本部で和泉さんと会った時に言ってたんですけど。5000円分買い物したらくじ引けるんですって」


 応じるのは小鳩さん。

 莉子ちゃんは六駆くんに「少しくらいモグモグして欲しいな!!」と言われたので、ところてんに黒蜜ぶっかけたヤツをモグモグしている。

 芽衣ちゃんとノアちゃんは朝の修業に出かけているのでそろそろ帰って来る。

 猫たちは起きて来てすらいない。


「そうなんですのね。六駆さんが『お金を使う事によってくじが引ける』という事に言及するだけで背中がぞわっとしますわ。未だに慣れませんわね……その隠居済みのお考え方」

「小鳩さんって今日はオフなんですか?」


「ええ。特に予定はありませんわよ?」

「モグモグモグモグモグモグモグモグ……」


 小鳩さんはなんだか嫌な予感がしたという。

 どうしてわたくしにお話を振るんですの、と。

 お隣にはところてんモグモグしておられる莉子さんがいらっしゃいますわよね、と。


「莉子と一緒に買い物に行って来てもらえませんか? 莉子ね! 痩せたから下着のサイズが変わったんですって! でも僕が一緒に選ぶわけにもいかないじゃないですか! 他のお客さんは女性な訳ですし、僕がいると迷惑になっちゃう!!」

「あぁ……。なるほどなぁ、そういう事かよぉですわ。そういうアレですのね? ちょっとお待ちくださいまし」

「モグモグモグモグモグモグ……」


 小鳩さんが静かに立ち上がって、素早く猫部屋に突入していった。

 そして「に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」というだらしない方の猫が鳴く。

 だいたい5分で出て来た。


「クララさんと瑠香にゃんさんもお暇でしたわ!! どうせだったらチーム莉子のメンバー全員で行くべきだと思いますの、わたくし!! だって! 親睦がアレしますもの! そう、ナニですわ! 深まりますもの!!」

「起きて2分で引っ張り出されたにゃー」

「………………………………? ステータス『コンセントから抜かれて装備ひん剝かれたと思ったら服着せられた』を獲得しました」


 小鳩さん、飼い猫2匹を場に召喚してターンエンド。


「莉子! はい、100000円あげる! これね、昨日の大学の帰りに南雲さんの代わりでちょっとダンジョン寄ってふぅぅぅんして来たヤツだから! これ使ってみんなで色々買っておいでよ!!」

「わぁぁ! いいの!?」


「もちろん!! お金なんてね、使わなきゃ!! 貯めて並べて眺めて嬉しいなじゃダメなんだよ!! 経済を回す事が肝要! それで最終的には僕に入って来るお金が増えるんだから! 経済が活性化されて!! お金はある程度の消費しておかないとね!!」



 最近は大学で経済学を他学部履修している逆神六駆。

 いよいよこの世界も終わりなのかなと思わせる心境に到達す。



「みみみみみっ! 六駆師匠! メニュー消化して来たです! みっ!!」

「ふんすー!! 逆神先輩!! なんだかボク、次元じゃなくて時空にも穴が空けられる気がしてきました!! 鋭意特訓中です!! ふんすふんすっ!!」


 高校生コンビが体操服姿で戻って来た。

 小鳩お姉さんがやはり動く。


「まあまあ! 頑張っておられる芽衣さんとノアさんを置いて行くなんてとんでもないですわ!! では、お二人の準備を待ってからお出かけしますわよ!! ……莉子さんの下着とか、あの、アレですわ。お出かけ服とか、皆さんで買うんですわよ!!」

「……みみっ」

「ふんすー」


 鳴き声女子高生コンビ。

 「抵抗するのが無意味なヤツです」「興奮するヤツ来ました。カメラの画素が良い方のスマホちゃん用意します」と鳴く。


「ふぇ? 六駆くんは来ないの?」

「そうだね! 女の子の買い物に僕だけ混じったら気兼ねさせちゃうから!! 莉子は優しいからさ! 僕が待ってると思ったらじっくり選べないでしょ?」


「六駆きゅん……!! しゅき……!!」



 小鳩さんは思った。

 「六駆さん、大学生になってから明らかに知能の方向性が変わりましたわ。割と小賢しい感じに。嫌ですわ。おじさんみを強く感じますわ。嫌ですわね」と。



 久しぶりにやって来た、チーム莉子の乙女たちによるお買い物回。

 これもまた、最後と思えば愛おしいものである。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 六駆くんが日須美市のイオンに門を生やした。

 莉子ちゃんたち6人の乙女たちが転移して行く。

 それを見送ってからスマホをスッスとやって電話を一本。


「あ。もしもし! 南雲さんですか? おはようございます!! イオンに門を出しました!!」

『ああ、逆神くん。おはよう。教えてくれてありがとう。ちょうどこれから家を出ようとしてたタイミングだったから助かるなぁ。じゃあ、本部に行く前にイオンに寄って謝罪しておくよ。いつもの日須美市のイオンでしょ?』


「そうですね!! すみません!!」

『ああ、いいのいいの。私も考え方が変わったって言うか。むしろね、君にこうやって貸しを作っておくといざって時に安心だから。今の逆神くんって貸し作っておかないと動いてくれないし』


「うわぁ! 南雲さんとはずっとこんな関係を続けていきたいです、僕!!」

『私もだよ。羊羹、家にストックあったかな? 京華さーん。ああ、すみません。良かった、ありましたか。そうです、ちょっと謝罪に。いえ、大丈夫です。羊羹と百万円の束1つで片付く簡単なヤツですので。瑠奈! 京一郎! お父さん、行ってくるからね!! あ、ごめん逆神くん。電話切ってなかった。じゃあ、私は謝罪してから出勤するから。それでは、またね』


 六駆くんと南雲さん。

 この2人、恐らく最終ロットとして仕上がっている。


「六駆殿。よろしいのですかな? 思い出作りというのであれば、その思い出に参加するのもまた英雄の務めではないかと吾輩は思いまするが。あ、コーヒーが入りましてございまする」

「嫌だなぁ、ダズモンガーくん! 思い出作りを楽しんでる莉子たちを眺める! それもまた楽しい思い出だよ! うふふふふふふふふふふ!!」



「先代の魔王様がそのような事をよく申しておりましたが。六駆殿が少しばかりおじさんの枠からはみ出そうとしているのではないかと吾輩、心配になりまする」


 六駆くん、隠居が気持ち良すぎておじさんからおじいちゃんに片足くらい突っ込んでいる可能性が浮上する。



「なに言ってるの、ダズモンガーくん!! 僕だってやる時はやるよ? ただ、やらない時は何もしない!! それが隠居の醍醐味じゃない!! さーて!! 今日はバルリテロにでも行って、ひいじいちゃんを何発か殴って牽制して来ようかな!! 現世が平和じゃないと莉子たちの仕事が増えるからね!! あー。ダズモンガーくんの淹れるコーヒーも美味しいね! これ、なんていう豆?」


 ズズズと良い香りのコーヒーを嗜む六駆くん。


「コーヒー豆を食べさせたグアルボンの糞でございまするな!!」

「……やっぱりコーヒーは南雲さんのところで飲むのが1番だね!!」


 ついにジャコウネコみたいな扱いになって来たグアルボン。

 ちなみにジャコウネコは猫ではない。

 ハクビシンの親戚である。


 それでは次回。

 チーム莉子とランジェリーショップ『OPPAI』をお楽しみ頂きたい。


 乳と和解した後の莉子ちゃんが初めて挑む、VSランジェリーショップである。

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