第1373話 【エピローグオブ平山ノア・その2】時代に逆らう雑誌を作ろう ~水着か、それとも破壊か死神か~

 前回のあらすじ。

 ノアちゃん最後の暗躍中。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 こちらは愛と平和に満ちた独立国家・呉。

 玉ねぎハウスでノアちゃんがお仕事をしていた。

 傍らには猫。


「うにゃー。巻き込まれちまったぞなー。けどにゃー。こうやって定期的にちょっと酷いけど致命的には酷くないくらいの目に遭っとかんとにゃー。南雲出産前夜編とかに巻き込まれたらやってらんにゃいもんにゃー。ということで! あたしはノアちゃんに加担するぞなー!!」



 諸君。賢い猫はお嫌いですか。



 クララパイセン、エピローグ時空の潮目を敏感に察知。

 この空間では最初の方に出番を終えると2パターンのゴールが待っている。

 酷使されるか。より酷使されるか。


「あたしは水着になればいいのかにゃー?」

「あ! クララ先輩は大丈夫です!! クララ先輩は脱がれた方が需要減っちゃうタイプです!! あとでソシャゲやってるオフショット撮ります!! ふんすですね!! 瑠香にゃん先輩!! 他の乙女先輩の水着カット選定はどんな感じですか? ふんすですか?」


「ステータス『ノットふんす』を強く確認。瑠香にゃんはどうして矢面に立たされてるのでしょうか。プリンセスマスターの奇跡の1枚だけ確保しました。ちょっとおっぱい膨らんで見えます。ご主人マスターは旦那様に選んでもらいます」

「あぁ? ……俺ぁ飯食おうってノアに誘われたんだけどよぉ? なんだぁ? こりゃあよぉ」


 芽衣ちゃんは本日、私立ルルシス学院のお友達と一緒にイオンでクレープ食べているので欠席。

 猫の手も借りたい突貫作業であるからして、既に猫の手は2種類ほど借りているノアちゃん。


 先ほど日本本部に寄ったところ仁香さんがパンツスーツで仕事をしていたが、ノア隊員はこれをスルー。

 仁香すわぁんがパンツスーツの時は危険が危ない。


 春香さんには軽く「水着の写真使っても良いですか!?」と聞いており「私みたいな未だにデキない人妻の水着に需要あるかな? 28だよ? 私」と控えめなお返事をゲットしたので「むしろ逆にピンポンです。ふんすです」と応じた。

 佳純さんは「うん! いいよ!!」と快諾。

 ついでにあっくんをゲット。


 水着写真を掲載する相手の許可は絶対に取る。

 これは基本中の基本。

 後で問題になったら、比喩表現ではなく命が危ない乙女あいてが多数、その辺にいる。


 しかし、スリルがなければ興奮もあり得ない。

 乗り越えるスリルが高難度であればあるほど、その先の興奮も大変にふんす。


「あっくん先輩!! ボク、小鳩先輩との関係に悩んでいたあっくん先輩のご相談に乗った記憶があります!! するつもりはないです! ないですけど、ボク、小鳩先輩とすごく仲良しです!!」

「ノア……。てめぇ……。脅してやがんのかぁ? この俺を? くはははっ!! 随分と安く見られたもんだぜぇ!! 俺もよぉ!!」



「えっ!? すみません、もう1回お願いします! 4日前にお昼から小鳩先輩のおっぱいを求めていたあっくん先輩!!」

「くははははっ!! よぉし、任せろぃ!! 俺ぁ今から編集者だぜぇ!! てめぇはマジで逆神の弟子だなぁ! クソがよぉ!!」


 優秀な編集部員をゲットしたノア隊員。



 今のところ、『月刊探索員・女だらけの特大号』は薄くなる予定。

 人気女子探索員のグラビアとインタビュー記事を2ページとして、あとは何人分のそれを集められるか。


「よぉ。小鳩ぉ。おめぇの水着なんだがよぉ。ちっと月刊探索員に載せちまってもいいかぁ? 言っとくが、こいつぁ自慢だぜぇ? 俺の女をよぉ。世の中のクソ非モテ野郎どもに見せびらかしてぇんだよなぁ。……あぁ。愛してるぜぇ」


 スマホを2台活用して粛々と仕事をするあっくん。

 とりあえず嫁さんの水着写真の使用許可をゲット。


「クララ先輩!」

「なんだにゃー?」


「芽衣先輩の水着写真の許可をもらって来てください!!」

「あたし、もしかして今回で死ぬのかにゃ?」


 芽衣ちゃんは事情を知っているので「みっ。芽衣はどうでもいいので好きにして欲しいです! みみっ!!」とその日のうちに御許しを賜った。


 月刊探索員は基本的に非売品。

 希望者に頒布される。日本本部の棚とかにある。

 だが、これは非合法のルートで売られる恐れが出て来た。

 ちなみにルベルバックは日本本部から定期購購読している。


 年初来高値更新は確実か。


「みんな精が出はりますなぁ。おばちゃん敵わんわぁ。ノア嬢ちゃん、ピュグリバーでお姫様の写真撮って来たけど、さすがに水着は無理やって言われてん。クララちゃんのタンクトップと短パン出したらオッケーやって。これでええやろか?」


 ペヒやんはもう誰の上にも立たない。

 誰かが立ち上がったらその周りを地ならしして、歩きやすくするだけ。


「にゃはー!! これ水着よりえっちっちだぞなー!!」

「ふんすですね!! クララ先輩で見慣れているはずなのにすごくふんすです!!」


 結構な数が揃っては来たものの、まだまだ写真データもインタビュー記事も足りない。

 ノアちゃんの計画ではお盆までに発刊したい。

 印刷作業は玉ねぎオーバーテクノロジーに任せて一晩でやってもらう予定だが、やはり専門家の力が必要かと思われた。


「とおー!! たあー!! ふんすー!!」


 ノアちゃんが『ホール』を超遠隔発現した。

 異世界にも空けられる穴ならば、同じ地球上とかもう近所である。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 こちらはヨーロッパにある某国。

 カフェテラスで夕陽を見つめながら紅茶を嗜む紳士がいた。


「つぁぁ!! 『乳液にゅうえき』!! ……よし」


 そんな紳士の隣の空間が歪んだ。

 身構える事もなく、紳士は応じる。


「この穴には幾度となく世話になった。ノアさんか」

『川端先輩!! ちょっとおっぱいの事でご相談がふんすです!!』



「なんだって? 話を聞こう。できるだけ詳しく、端的に頼めるか。おっぱいに割く時間を少しでも多くしたい」

『ふんすふんすー!!』



 どうやったのか皆目見当も付かないが、3日後。

 主だった乙女の写真が新しい水着姿で呉の玉ねぎハウスに送られて来たという。


 爵位を持つとはこういう事である。

 きっと高潔な方法、特におっぱい人格権には配慮したに違いなかった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 再び戻って来たのは呉。現場の会議室。

 事件は会議室で起こっているんじゃないけれども、事件現場が会議室というジレンマ。


「あとはダンジョン攻略の記事が必要です!! ここにいる先輩たちなら余裕ですね!! 明日ということでいいですか!?」

「ちっ。……もしもし。小鳩かぁ? 明日、仕事が入っちまった。あぁ。今晩は2時までに寝るぜぇ」


 あっくんが苦労の末に柔軟な思考を獲得し過ぎている。

 これではまるで大きく柔らかいおっぱいではないか。


「にゃはー。仕方ないぞなー」

「瑠香にゃんはそろそろコンセントが恋しいです」

「芽衣先輩も行ってくれるみたいです! ラインが来ました!! ふんすですね!!」


 申し訳程度のダンジョン攻略記事を付けて『月刊探索員』を名乗るという詐欺みたいな手法に打って出たノアちゃん。

 遠足で「バナナはおやつに入らない」と言われた瞬間に房ごと持って来る一休さんクレイジースタイル。


 そんな玉ねぎハウスに来客あり。


「……ふっ。……話は聞かせてもろうたよ」

「あたしらもダンジョン攻略ってねぇ、1回やってみたかったんよねぇ!!」

「あたしら3人も寄せてくれぇさんよ!!」


 三女傑が来ちゃった。


 こうなるとダンジョン攻略記事がおやつで済まなくなりそうである。

 ダンジョン全壊はまだ六駆くんや莉子ちゃんですら成し遂げていない偉業。


 来るか。

 特報。


 得るか。

 呉のお嬢様たちの巻頭グラビア。

 表紙ゲットまであるか。


 次回。

 爆誕、月刊呉・創刊号の巻。

 乙女たちの水着は日の目を見るだろうか。

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