第1254話 【本当に最後のはずの日常回・その7】平山ノア隊員のバルリテロリ放浪記 ~役に立つ情報を小鳩先輩と一緒にお届けするボクっ子諜報員~

 前回のノアちゃん回。

 瑠香にゃん回よりもずっと早くこの形を確立していたのに、なんか最近伸びが芳しくない。


 先輩方各位。

 ノア隊員のモノローグ回も優しく見守るのである。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 ボクは今、バルリテロリにいます。

 しかも皇宮です。

 皇帝先輩が逆神先輩と莉子先輩にボコボコにされた今、皇宮は探検し放題。


 先輩たちは世界ふしぎ発見が終わって絶望していると思います。

 そこでボク、ノアちゃんがミステリーハンターとしてバルリテロリふしぎ発見をしてしまおうという、役に立つし、ボクも楽しいステキな企画を持ち込みました。


 お相手はこちらの先輩です。


「え゛。あの、えっ!? あ。わたくし、何を喋ればいいんですの!? お供するなんて安請け合いするんじゃなかったですわ……」


 慣れない事をやってもらうと可愛さが増す、でお馴染み。

 塚地小鳩先輩です。



 もう謎の言葉の合いの手なんか必要ないのです。


 ————そんなこと言わないでください。



 それでは、早速バルリテロリ皇宮を探検して行きましょう。

 ちなみに小鳩先輩は黒いインナータイツのままです。


 穴ちゃんを使っていつもの鎧はメンテナンス中でも、他の装備で間に合わせる事はできましたが、ボクは知ってます。

 インナー姿のお姉さんに需要があるという事を。


 ボクのブルマ姿なんか太刀打ちできないフレッシュさ。

 ですので、ボクはフル装備です。

 浴衣装備も季節的に『夏祭り』のシーズンですからね。


 ————この世界の季節は1月8日ですが。


 あ。

 これは本来の意味の「浴衣でお出かけする夏のお祭り」と「君がいた夏は、遠い夢の中のお話」な夏の定番ヒットソングのダブルミーふんすです。


 ————浴衣装備は確か逆神孫六戦で破損しましたよね。


 ふんすですね。


 ————最終決戦、ノアさんはどんな格好で参加していたのでしょうか。


 ふんすですね。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「ややっ!! 小鳩先輩!! なにやら謎の箱が並んでいます!! あれはバルリテロリのトラップでしょうか!! 接近して確認お願いします!! ワンチャン、インナーが破れるかもです! 爆発して! 胸の部分はお見受けするに、ちゃんと下におブラしてますよね!! ならセーフです!」

「ええ……。わたくし、そういうことさせられるために帯同してるんですの? ノアさんは初期ロットからほとんどお変わりないですけれど、そういえば初期ロットのノアさんと絡むとだいたい皆さん酷い目に遭ってましたわね……」


 謎の半透明の箱を発見しました。

 中にビーズみたいな粒々が入っています。

 きっと散弾銃みたいにバーンってなって、いい感じに小鳩先輩のインナーを切り裂いてくれるはずです。


「あら。ノアさん? 残念ですけれど、これはただの日用品ですわよ」

「またまた! 小鳩先輩!! おブラの色は何色ですか!! 平気です! むしろベージュとかの地味な色で、飾り気のない方がおじさん先輩たちは握りこぶしからの総立ちです!!」



「いえ。これはですわね。水とりぞうさんですわ」


 困りました。

 小鳩先輩にセクハラし過ぎたのでしょうか。

 言動が意味不明になってしまいました。



「嫌ですわね。このモノローグシステム。わたくしにも全部聞こえるんですの? どなたに向けてなのかまでは分かりませんけれど、わたくしが不当に貶められている事は分かりますわ。水とりぞうさんですわよ。お師匠様の家にもたくさん設置されていますわ。倉庫の端っことか、納屋の奥とかに設置するものですわ」

「小鳩先輩のインナーがかまいたち系のスキルを喰らった後みたいになって、イエスふんす!! ってならないヤツですか?」


「なったら堪りませんわ。お年を召した方からは未だに絶大な信頼感を得ている、除湿剤の雄ですわ」

「あんな大きいものをいくつも重ねて置いたら邪魔じゃないですか?」



 ————大きさこそが信頼性の証だった時代もあるのです。



 トラップが誤作動しているこの廊下でふんすチャンスかと思ったら、ただのゴミでした。

 どう見ても水浸しです。

 使用済みのゴミの山です。


 ————小鳩さん。フォローをお願いします。


「……なんか声が聞こえましたわ。まあ、どうせこれは日常回時空限定の超常現象だと思うので気にしませんわ。ちょっと失礼しますわね。……あ。やっぱりですわ」


 小鳩先輩がしゃがみ込みました。

 残念な事に、小鳩先輩のインナーは上と下が分離しているタイプなので、生地が突っ張って透けたりしないのです。

 これ、南雲先生が開発したインナーですね。



 次号の月刊探索員で南雲先生の罪を糾弾します。


 ————小鳩さんの話を聞いてあげてください。



「水とりぞうさんはですわね。紙のフタがあるんですわ。ただ、お師匠様もよくやられるのですけれど。捨てちゃうんですわ。開封時に。それをやってしまうと、吸湿が過剰に働きすぎてすぐに水でいっぱいになってしまうんですわ。ここにちゃんと説明が書いてあるんですけれど……。お年を召すと見えづらいのか。もしくは、説明なんか読まんでも知っちょるわい。何十年使いよると思うちょるんじゃ。と仰って、そもそも注意書きを全て無視しているかの2パターンが代表的なおやらかしですわ」


 割としょうもないお話でした。


 ————そんな事ありません。水とりぞうさんを今後使う方たちの役に立ちます。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 ややっ。

 よく見たら、絢爛豪華な廊下に高そうな蠟細工とか、何に使えるのか分からない形をした壺に混じって服が引っかけてあります。


 これはバルリテロリ伝説の装備かもしれません。

 小鳩先輩に着てもらいましょう。


 インナー姿なので。


「ええ……。またわたくしが確認させられるんですの? まあ、ノアさんは本当にトラップだった時の対応ができませんし。分かりましたわ」


 ————先ほど、『ホール』で普通に対応していましたが。


「さあさあ! そのテロンテロンのヤツは伝説の装備ですか!?」

「……これは。なんだかものすごく触れ慣れている質感が……」


「セクシーなヤツですね! ふんすですね!!」

「ええと。ももひきですわ」



「つまり、太ももに関係している装備ですね! ふんすですね!!」


 ————ノア隊員が無知を装うには本編時空で色々とやり過ぎた感があります。



 ちっ、ですね。

 じゃあなんでおじさん専用装備がこんなところに吊るしてあるのか、その訳を探ります。


 取れ高がすごく低そうですが。

 ミステリーハンター・ノアちゃんができるのはそれくらいです。


「ええと。ノアさん? 何故か全部聞こえてくるので、もう会話を省いてお答えしますわよ?」

「さすが小鳩先輩! 適応が早いですね! 興奮して来ました!!」


「お年を召した方の中でもレアケースですけれど。水とりぞうさんの近くにお洗濯物を干す方がおられますの。除湿剤とエアコンの除湿を混同しておられるのですわ」

「あ。もう良いかも知れない情報ですね。これ」


「確かにですわよ? 除湿剤を敷き詰めたお部屋で部屋干しをすれば、多少の効果はあるはずですわ。ですけれど、水とりぞうさんの除湿力は有限ですの。先ほどご覧になりましたわよね? 限界を超えると中身が水で溢れて、除湿効果はなくなりますのよ。けれども、水とりぞうさんって言うんじゃけぇ! 水取らんかったらウソじゃろ!! と、妄信してしまう方がいらっしゃいますの……」


 ————エアコンを除湿にして部屋干しすると乾くスピードは上がります。


「ノットふんすでした。ややっ! なら、この部屋干しエリアにはオタマ先輩や六宇先輩の肌着! つまり本来ならば見えちゃいけないものも干してあるという事では!! 俄然ふんすしてきました!!」



 ————インナー姿で最終決戦の大半を過ごしたメインヒロインが怒りますよ。



 小鳩先輩が吊るしてあるハンガーを確認してくれています。

 あっくん先輩とのラブラブ通話が仕事をして、ボクにものすごいバフがかかっているみたいなので、終わったらまたあっくん先輩と穴を繋げて差し上げましょう。


「ええと。ノアさん?」

「オタマ先輩の方が需要ありそうですが! 六宇先輩も合法女子高生という稀有な存在なので、もうどっちでもふんすです!!」



「これ、全部メンズですわ。というか、全部ももひきですわ」

「小鳩先輩。あっちでボクの穴をおっぴろげてあげます」



 これにてバルリテロリ皇宮の探検は完結です。

 くぅー。やるんじゃなかったです。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 管理権限を投げつけられた。


 ノア隊員も色々と思うところはあるかもしれない。

 だが、こうは考えられないだろうか。


 瑠香にゃん回が人気になったのは、ノアちゃん回の下敷きがあるからである。

 そうは考えられないだろうか。


 やってる事は瑠香にゃん回の方が新鮮で、やってる構成はほぼ同じ。

 つまり、順番が先にやって来る瑠香にゃん回の方にアドバンテージが生まれるのは必定。



 なぜ最後の新人である瑠香にゃんが四番バッターなのかは分からない。

 まったく、掲載順とは実に無常ですな。

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