異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第1156話 【魔王城から水着のお姉さんがお送りします・その1】芽衣ちゃまロスから救ってくれる仁香さんが頑張ります(主に情報補完的なヤツで頑張ります)
第1156話 【魔王城から水着のお姉さんがお送りします・その1】芽衣ちゃまロスから救ってくれる仁香さんが頑張ります(主に情報補完的なヤツで頑張ります)
芽衣ちゃまの大活躍に沸いているミンスティラリア魔王城からお送りいたします。
今回より内容が一部変更され、沸いていない人がメインになります。
ご了承ください。
青山仁香お姉さん、および
「仁香! 仁香ぁ!! 芽衣が映らんのじゃ!! どうにかして欲しいのじゃ!! ずっとばば殿がダイハードしておるのじゃ! 最初は迫力があって面白かったけどもう飽きたし、なにより怖いのじゃ!! どうしてばば殿はスキルを使っておらぬのに砲弾をキャッチしてクルクルした後で投げ返せるのじゃ!?」
まずは当地の統治者。
魔王城をお借りしている以上は無視できない、ファニちゃん様のクレーム対応を玉座にて処理するところからスタート。
「ええと。この映像は本部のサーベイランスと繋いでいるので。私としてもご要望にはお応えしたいのですが、作戦行動の都合を最優先する必要があって……その……」
「ごめんなさいなのじゃ……。妾、仁香に迷惑かけるつもりはなかったのじゃ……。あっちでグアルボン眺めて来るのじゃ……」
「くぅぅぅ! シミリートさん! すみません!!」
ここまで残った乙女の中で仁香さんが最も仕事人の称号に相応しい。
もう白ビキニだろうが何だろうが気にせず、数千年にもおよぶ魔王の歴史が染みついた玉座に布切れ1枚越しに引き締まったお尻を据えて、気も引き締めて粛々と放っておけない子の要望を叶えている。
「通信かね。こちらを、仁香殿」
「はい! ありがとうございます!! ファニちゃんさんには何か、おやつとかでご機嫌をキープしてください! すぐに芽衣ちゃんを映してもらいますから!!」
「お言葉だがね、仁香殿」
「あ、もうおっしゃりたい事は分かります! ご存じないと思いますけど、私の上官って本当に宿六なので! それの要望に応えて来たんです、私! 作戦行動に支障が出るのはまずいってお話ですよね? 平気ですよ。逆神くんたちですから。ちょっとくらい支障が出た方が緊張感も出て良いまであると思います!」
「くくっ。貴女は英雄殿とは違うベクトルでメンタルが完成しておられる」
「あ! 山根さんですか! 青山仁香……もう肩書分かんない探索員です! 後方司令官代理っぽいですけど! 色々もう良いです! 今、私、白いビキニで仕事してます!! 通信可能ですか!?」
宿六監察官室をワンオペで回し、同時進行で莉子ちゃんをダイエットさせていた仁香お姉さんの本気が今、ミンスティラリアの地で覚醒する。
あまりの迫力に山根オペレーターがすぐに応じた。
『う、うっす。こちら山根っす……。ええと。なんか問題ありました? じゃあ、あの、すんません……』
こちらは相手が南雲さんだと元の有能さにバフがかかり、相手がお姉さんだとちょっとデバフを喰らう敏腕オペレーター。
福田さんが全然帰ってこないのでオペレーター室の責任者でもある山根くん。
「早口で要望だけお伝えします。こちら、協力して頂いている同盟国の王であらせられるファニコラ様がですね! 芽衣ちゃんの活躍が見たいそうなんです! 普通に考えて、今ってダズモンガーさんまで駆り出してもらってる状況ですよ。サーベイランスを突入させるタイミングとかそちらで色々とご事情があるのは分かりますけど。そこを曲げて、今すぐ芽衣ちゃんの中継を再開してください。責任は私の上官が取りますので! 降格処分、懲戒、何なら解雇でも結構です! オーバー!!」
ほんの数秒の間があったものの、限りなく即答に近い返事が聞こえた。
『あ。承知したっす。自分も責任は南雲さんかナグモさんに取ってもらうんで。あの……。大変っすね。すぐにサーベイランスを動かすっす』
1分ほどで映像が皇宮に入ってすぐの事件現場、失礼、戦闘を終えた小鳩隊およびみみみ遊撃隊およびしょんぼり莉子ちゃんを上空から捉える形に切り替わった。
ファニちゃんがトコトコと嬉しそうに駆けて来て、仁香さんにはにかむ。
「ありがとうなのじゃ、仁香! 妾、仁香みたいなお姉さんが欲しいのじゃ!! もうこのまま、魔王の姉になるのはどうなのじゃ!?」
「それはさすがにできませあ゛!」
「そうなのじゃ……。また妾はワガママを……」
「くぅぅー! 考えさせてください!!」
責任感と使命感と放っておけない感がせめぎ合った結果、ちょっとだけ仁香さんが退役へ揺れ始めた。
ファニちゃんが笑顔で金色に光る小型モンスターを差し出した。
「あげるのじゃ! ミンスティラリアでは友好の証なのじゃ!」
「え゛。あ、ありがとうございます……? これは……?」
「ブブリドンなのじゃ!!」
カブトムシみたいなモンスター。
ずんぐりとしたフォルムと丸っこくコロコロした動きがチャームポイントの、ミンスティラリアでは希少な生物。
「…………莉子ちゃんを思い出すのはなんでだろ」
やっぱり退役したらダメだと思い直した仁香さんである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
同じく黄色のフリフリビキニでちょこまかと謁見の間を走り回って仁香さんの補佐をしている、リャンちゃん。
その隣にはザールくんが付き従う。
「ザールさんは休んでくださって結構ですよ! 私はお仕事ですけど! 功労者の方にお手伝いまでしてもらっては困ります!」
「これはリャンさん、異なことを。私も時には反論いたします。あなたを支えると誓った約束をもう違えさせられるのは不本意です」
「わ、わぁー! それ、すっごくドキドキします!! なんでしょうか、これ! 仁香先輩に聞いて来なくては!! 『ソニックダンス』!!」
「ああ……。そのような格好で加速するタイプのスキルは控えてください!!」
恋愛乙女レースでは佳純さんの直線一気っぷりが記憶に新しいものの、『私たち致しましたステークス』では下手すると彼女を捲るかもしれない末脚を見せ始めたリャンちゃん。
幸せそうで何よりです。
「仁香先輩!!」
「あ。リャン! 休んでなさいって言ったのに!」
「えへへ。私もザールさんに同じことを言いました!」
「そっか、そっか。上手くいってて私も嬉しい! それで、どうしたの?」
ビシッと敬礼してまずは報告事項を伝えるリャンちゃん。
ついつい嬉しくて公私混同はしてしまうけれど、最低限の公を優先する辺りとてもフレッシュでよろしい。
この程度で「この女子。仕事しろや」と目くじら立てていたら、チーム莉子の活躍を見た瞬間に卒倒する。
「はい! ルベルバックとの通信が回復したとシミリートさんから伺いました!!」
「……ついさっきパブリックビューイングの設置してたのに。技術部門の人って本当にすごいなぁ。ごめん。それで、何か特記事項は?」
「はい! キャンポム少佐自らが電文を! 読み上げますね! ……ルベルバックにて大規模な空間の歪みが発生し、木原久光監察官および雷門クソ善吉クソ監察官の行方が不明に。当方、全軍をもって捜索しているものの
仁香さんがフラッと玉座から立ち上がり、転がっている冬眠中のゴリ門クソさんを一瞥して力なくポスッと座り込んだ。
お忘れの方のためのゴリ門クソさん情報。
芽衣ちゃまに会いたくて震えた結果、木原さんが咆哮しながら空間を歪めて時空を超えて、なんかよく分からんけどミンスティラリアに現れた。
雷門クソ善吉クソさんと一緒に。
仁香さんがブブリドンを摘まんでジッと見つめてから呟いた。
「こういう時に頼れる人がいるって、やっぱり心強いよね……。せめて相談相手がいればなって思っちゃう。どんな宿六でも。しょうもないこと言って現実からちょっと離れさせてくれるもん。国際問題というか、異世界問題というか。これ、報告受けた時点で私の管轄だ……。このずんぐりしたモンスター、莉子ちゃんより可愛いな。あははははっ」
これはいけない。
ザールくんが動いた。
彼は既に師弟の絆感知能力で「バニング様の死相が消えた……?」と、チャドの霊圧が消えたみたいな感じで戸惑った後「いや。朗報なのに、どうして私は?」となんか師が没するのを既定路線みたいに思っていた事を恥じて悔いて詫びた後なので、脳内がとってもクリアになっている。
「仁香様! 失礼ながら、ご事情を伺ってしまいました! 私の首でどうかひとつお許しください!!」
「了! 仁香先輩! 私がお伝えしました! 私は……ええと……水着を脱ぎます!!」
「あ。ううん。全然問題ないから。ザールさんも、すぐに首を渡して来ないでください……」
「いかん。思ったよりも仁香様の疲弊が著しい! バッツ様!!」
照り焼き食べて
「緊急性の高い事態だからね。説明は省かせて頂くよ。四郎殿がかつて造られた転移座標になり得る【
「はっ! ボンバァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
【
ぼんやりと砂塵舞う荒野が見える。
「えっ。あの……?」
「私たちアトミルカが独断で、転移スキルを使用しました。ルベルバックにはバッツ殿の
「え゛。いえいえいえ! ダメですよ!?」
「仁香様。リャンさんとお会いできたのは貴女のおかげです。我が師は受けた恩を返さぬ者無礼者など許しはしません。どうか、ご容赦ください。あるいは首を差し出します」
「………………。リャン?」
「はい!」
「結婚式、ミンスティラリアでする? 現世? 日本。あ、台湾のご実家がいい? 私、全力でプランニングするから」
「了! では、3か所でやりたいです!」
「任せて!!」
笑顔の戻った仁香お姉さん。
どこかの異空間では「ザールさん。あなたはやはり敵でしたか」と悪辣な魂が呟いた。
君の帰って来るところは着々となくなっているというのに。
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