異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第1099話 【どんな時でも絶対に日常回・その15】山根春香さんの「なんだか皆さん……。楽しそうですね?」 ~格闘タイプお姉さんは旦那が腰やってるせいで出番も少なく色々と蓄積中~
第1099話 【どんな時でも絶対に日常回・その15】山根春香さんの「なんだか皆さん……。楽しそうですね?」 ~格闘タイプお姉さんは旦那が腰やってるせいで出番も少なく色々と蓄積中~
だいたいの乙女たちがラブコメをキメて、だいたいの男たちが討ち死にした。
いつメンが日常を済ませたので、もう安全。
その安全という感覚に鬼が潜んでいるのである。
こちら、再び日本本部。
オペレーター室では福田弘道Sランク探索員が諸々の処理のために出かけているため、山根健斗Aランク探索員がチーフとして全オペレーターを纏めていた。
介護ベッドの上で。
作中時間ではわずか2週間ほど前の事だが、観測者時空だともういつの事だか確認するのも億劫になるくらい前の出来事。
山根くんはクリスマスに頑張り過ぎて腰をいわせた。
和泉さんが生死不明になったが、そして精子不明になったが、山根くんはオペレーターでありながら体もちゃんと鍛えている万能タイプ。
日頃から南雲さんをおちょくる仕事を済ませるとトレーニングルームへ向かい汗を流しているし、スキルの練度も頑張って上昇させようまでの意欲はないが腐らせるような事もせず、しっかりと現状維持に努めている。
今回のバルリテロリとの戦争でもしっかり仕事をこなしており、逆神五十鈴の本部急襲に際してはオペレーター室を預かり責任を果たした。
本部が急襲され過ぎてオペレーター班も慣れて来ていたところに、ガチのマジで本部が半壊させられるほどの襲撃を受けてなお、2人でオペレーター室を回してきっちり役割をこなした彼は実に優秀。
南雲監察官室をチーム莉子が急襲する以前は1人で全ての補佐をこなしていた副官でもあり、それ以前は現場で探索していた時期もある経歴も輝かしい男。
さらに美人の嫁さんまでゲットした、人が羨む成功者な20代後半の脂がのって来る時期の青年。
「いやー。いい仕事したっすねー。ナグモさんコレクションがまた増えたのは良い事っすよ。死んじゃったらもう増えないんすから」
意外と上官も慕っている。
そんな山根くんの元に嫁さんが戻って来た。
「お帰りっす。春香さ……ん……? あの」
「戻りました。すみません、忙しいのに席を外してしまって」
「いえ。それは良いんすよ? 全然、良いんす。……なんで装備のままなんすか?」
「私、ここ一番では正装で挑むようにと京華さんに学んだんです」
山根春香さん。
日引春香さん時代は五楼時代の京華さんに師事していた、ゴリゴリの格闘タイプ乙女である。
ブルース・リーの黄色いヤツみたいな装備は動きやすさに特化しており、これまで見かけたことのないヌンチャクを持参してオペレーター室へと戻って来たクリスマスにちゃんと致しているご夫人。
ここまでの流れを考えると、旦那が腰いわせるまで致しているのだから問題はないはずである。
「は、春香さん? あ゛。……スポーツウェアを乾燥機にかけた件っすか? いや、ダメなのはセーターと下着って覚えてたんすよ!! まさか、あのテロンテロンな肌触りのタンクトップと短パンも乾燥機がダメとは思わなくて!!」
「違いますよー。健斗さんも色々とやらかしますけど。家事に協力的な男性って珍しいですから。失敗を重ねて成長してくれてますし。もうそんな事じゃ怒りません! あれ、上下セットで38000円しましたけど!! 4回しか着てないですけど!! 怒りません!!」
「……怒ってるんじゃ。あ゛。何でもないっす。……あー! はいはい!! 備えあればってヤツっすね? まだ脅威は去ってないっすもんね!! 春香さん、自分よりはるかに強いっすもんね! あ! 上手い事言っちゃいました! はははは! ……ちょっとトイレ行ってくるっすね!!」
「結婚式」
「…………………っ!!!!!」
山根くんは全てを理解した。
彼は頭の回転が極めて速く、監察官一の知恵者でお馴染み南雲修一上級監察官(仮)の意を汲んで、先んじて手回しのデキる男。
つまり、問題が発生する前の段階で問題の予期が可能という事。
今回の日常回時空での爆弾は結婚式。
山根夫妻は籍を入れたが結婚式はしておらず、「ピースの侵攻が始まったため、騒動が収まってからにしよう」と決めていた経緯がある。
もうとっくに収まって久しい。
もたもたしていたら戦争が始まっちゃった事実を鑑みるとアレがナニしている。
山根くんがサーベイランスの操作端末をカタカタターンとやる。
続けて、強めの口調で呼びかける。
「南雲さん!! 応答願うっす!! 緊急事態なんすよ!! 南雲さん!! あれ!? 普段、どんなしょうもない事でも呼んだらすぐ返事があるのに!? 南雲さーん!?」
「健斗さん。ちょっとお話ししましょうか? お話」
南雲さんはほんの少し前に過度のストレスで死にました。
言うまでもないかと思いますが、念のために言っておかなければならないと思うので、繰り返し言っておきましょう。
山根くんの作った黒ナグモさんコレクションが原因です。
山根健斗Aランク探索員。
久しぶりに自分の行動で自分の首が締まる。
◆◇◆◇◆◇◆◇
彼を待つのは嫁によるお話か。
お話と言う名の制裁か。
春香さんはゴリッゴリゴリゴーリの肉弾戦専門スキル使いで、あっくんと仮想戦闘空間で組手をしても五分五分の勝率を残すほど。
あっくんは近接戦がさほど得意ではないが、それでも彼は一線級の使い手。
お話で腰に続いて肩か腕か、最悪の場合は頭をいわせられる可能性がある。
だが、サーベイランスから応答があった。
蜘蛛の糸が垂れてきたら即ゲットして、SASUKEの出場者と見紛うスピードで這い上がるのが吉。
「あー! 助かるっす!! 繋がってるっすよー!!」
『どうも! 逆神六駆です!!』
「ちょっとすんません」
敏腕オペレーターでも判断に困るヤツを引いてしまった。
南雲さんが死んでいる以上、クイント宮の乗員でSSRはバニングさんかライアンさん。
しかしバニングさんも瀕死の重傷。
ついさっき嫁さんに怒られた。
ライアンさんは日常回に関わる気がないので、ずーっとYouTubeで猫動画を見ながら「……日本語の動画はやや猫に寄り過ぎているな。ワンコも増やすべきだ」とわんにゃん帝国の始祖として、ワンコとにゃんこの平等について考察中。
有事ならばすぐに応答するが、日常回時空の特性も分析済み。
「私の出番ではない」と確信をもって答えを出していた。
そうなるともう危険が危ないメンバーしかいない。
普段は常識乙女の小鳩さんも恋愛乙女。
結婚式の話をすると「あっくんさんと約束しましたのよ! うふふ!」とのろけて来るため、今この瞬間においては爆弾。
ノアちゃんは言うに及ばず。
引いた瞬間に「ふんすっ!!」と鳴いて爆弾を生成して来る。
ボマーかな。
であれば、引きたかったのは猫コンビ。
クララパイセンは小声でお酒かおつまみの贈賄をキメれば救いの巫女になり得る。
クリスマスではスパイ活動を依頼した経緯もある、信頼と実績のどら猫。
瑠香にゃんはミンスティラリアで今の瑠香にゃんバージョンに改修される前、01番ちゃん時代は山根くんが管理責任者をしていたため、協力を要請すれば応じてくれる可能性が高い。
ただ、チーム莉子の思考が組み込まれたという危険を孕むため、パイセンよりは少し優先度が下がる。
それでも猫コンビ。SR評価は余裕の戦力。
これは是非とも引きたかった。
が、排出されたのは六駆くん。
彼はエース。頼りになる。
が、大貧民ルールが適用される事もままあり、革命が起きている場合はエースだろうとクソザコになっている可能性があり、不確定要素がバリ高なので安定を求める山根くんはできるだけ使いたくないカード。
しかししかし、だがしかし、手札に六駆くんしかいなければ、ドローした以上、場に攻撃表示で出すしかない。
「逆神くん! あの、結婚式なんすけどね? 良かったら、自分たちと一緒に……」
『あ! すみません!! 南雲さんがなんか色々と手配してくれるみたいなんです!! すっごく豪華にやってくれるらしいので!! 山根さんと一緒も良かったんですけど。バニングさんもミンスティラリアの魔王城でやろうとか言っててですね!!』
「じゃあ! 自分も予算出すっすよ! あと運営も任せて欲しいっす!!」
『すみません。僕、誰とも合同ではしないと思うんです。莉子がね。わたしたちだけが良いよ! だって! 一生の思い出だよ? 他の夫婦と一生の思い出シェアするの? それってもう浮気じゃない? とか言うと思うんです。……じゃあ無理ですよね!! すみません! ベビースターラーメン食べなくちゃいけないので! 失礼します! えーと。ああ! これだ、スイッチ! では!』
六駆くんがパソコンを覚えたばっかりに、サーベイランスの電源の切り方も覚えてしまった哀しきディスティニー。
「春香さん……。自分、ゴンドラに乗りたいっす。キラキラさせましょ。ピンク色にするっすか?」
「健斗さん? 私にあんな頭おかしい結婚式させるつもりなんですか?」
「え゛っ!?」
春香さんがナグモ結婚式について好意的な印象を持っていなかったと判明した瞬間である。
山根くんはこの後、たくさんお話をする
日常回時空は無限のインナーワールド。
1年くらい過ごしても時空の終わりと共になんやかんや収縮して、何故か数分も経っていないことになる。
戦争がそろそろ再開されるので、奥さんにロキソニンテープを貼ってもらってからしっかりと職務復帰を願いたい。
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