第292話 舞台はイギリスへ! アトミルカ拠点攻略作戦、開始!!
1月の下旬。
大安吉日のこの日、急襲部隊は協会本部のアリーナに集結していた。
さらに、久坂剣友、木原久光、楠木秀秋が用意された椅子に腰かけ、雷門善吉はせっせと砦を構築スキルで創り出している。
そこに五楼京華と南雲修一がやって来た。
「あー。諸君、おはよう。よく眠れただろうか? 私はぶっちゃけあんまり寝てない。正直、このコンディションで大丈夫かなと言う不安は拭えない。だが、決行の日が来た!!」
自慢の特製ブレンドコーヒーでカフェインも充填。
我らが南雲監察官は急襲部隊に檄を飛ばす。
「これから始まるのは、日本探索員協会の歴史を紐解いても類を見ない大規模な作戦になる。諸君の奮戦に期待する。が、命をかける必要はない。危険だと判断したら、すぐに助けを求めてくれ。助けを呼ぶ声が聞こえたら、すぐに手を差し伸べてやってくれ。君たち1人の命が、協会本部の作戦よりも重いのだ」
「南雲さん、ちょっといいっすか?」
「……失礼。なんだよ、山根くん。今、私良い感じに総指揮官っぽくやってるところだよ?」
「やー、すんません! マイクのスイッチ入ってなかったっす!!」
「やーまーねぇー!! おかしいと思ったんだよ! みんな何のリアクションもないんだもん!! 私滑った!? とか思ってたら、聞こえてすらいないのか!?」
このあと、南雲監察官はもう一度最初から同じセリフを繰り返すと言う、1番恥ずかしいヤツをやらされた。
部下の士気を上げるつもりが、総指揮官の士気を下げる形となった。
「貴様たち! 南雲の言った通りだ! 命令は2つ! 1つ、勝って来い!! そして1つ! 生きて帰れ!! 手段は問わん! 責任は全て、この五楼京華が負うものとする!!」
急襲部隊が「おおおっ!!」と沸いた。
これより、急襲部隊は敵陣に突入する。
総責任者と総司令官の号令がかかれば、自然と闘志が生まれるのが必定。
「南雲さん。自分からも一言だけ、お聞きしときたいことがあるっす」
「なんだ? どうせしょうもない事だろう?」
「五楼さんに号令を上書きされた今ってどんな気持ちなのかなって!!」
「やーめーろーよぉー!! 最悪だよ!! しかも相手が五楼さんじゃ八つ当たりもできないよ!! 昨日の夜のセーブデータからやり直したいよ!!」
アトミルカ急襲作戦に先駆けて、本部の守備が固められる。
予備戦力として久坂監察官。
「まあ、気ぃ張らんでええけぇの。ピンチになったら呼んでくれぇ。頼りになる年寄りがここにおるからのぉ! ひょっひょっひょ!」
本部の守備担当の木原監察官。
「うぉぉぉぉん! 芽衣ちゃまぁぁぁぁぁ! おじ様ね、この日のためにお守り作って来たのぉぉぉ!! これ、手作りだよ!! 中にはおじ様の髪の毛が入ってる!!」
お守りは福田弘道Aランク探索員が「渡しておきましょう」と預かって、そのまま近くにあったサーベイランスにぶち込んだ。
守備隊司令、楠木監察官。
「万が一の備えは完璧ですから。皆さんは思う存分戦って来て下さい。是非とも勝利の武勇伝を肴に一杯やりたいですな」
本部構築部隊長、雷門監察官。
「この世の中を! ウグッブーン!! ゴノ、ゴノ世のブッヒィフエエエーーーーンン!! ヒィェーーッフウンン!!」
「よし、雷門。貴様は休め。もう良い」
この豪華なメンツが全て、万が一に備えると言う。
さらに五楼上級監察官が総大将として控えていると言えば、どれほど心強い事か。
「逆神くん。そろそろ『
「はい! ふぅぅぅんっ! 『
「ちょっと、君ぃ!! 早いよ!? これもう、あっちに門が生えてるんでしょ!? 急襲の意味がなくなるじゃん!!」
「えっ!? だって南雲さんがやれって言うから……。引っ込めます?」
「いいから行け。逆神、南雲を補佐してやれよ。その痴れ者とは、作戦が終わったあとに食事の約束がある」
「あっ! それ知ってます! 死亡フラグってヤツだ!!」
「六駆くんってばぁ! もぉ、行くよ! 南雲さんも!!」
「……不安しかない」
最後まで締まらない感じで、急襲部隊は門の中へと消えていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
急襲部隊はすぐに戦闘を始める気構えで門を出た。
だが、いささか肩透かしを食らう事になる。
「あれ? おかしいですね。下柳さんから『
「おおい! そんなグロい発現が想定されてたの!? やだよ、私! あの人に生えた門から出て行くの!!」
南雲の心配は杞憂に終わる。
彼らがいるのは、イギリス領に浮かぶフォルテミラ島。
その南端であった。
「逆神くんの『
加賀美政宗は常に建設的な事を言う。
それに応じて、屋払文哉が門の下を捜索すると。
「うっわ! くっせぇ!! なんだこれ! ゼリーの抜け殻みてぇなのが落ちてんぜ! 逆神、確認よろしくぅ!!」
「えっ!? 嫌ですよ! 臭いんでしょう!? 嫌ですよ!?」
南雲は今回の作戦で、五楼から秘密兵器を預かって来ていた。
これは、先に行われた模擬戦闘訓練で久坂の使ったスキルから発案されたものであり、逆神六駆を動かすにこれほど適したものはないと監察官会議も満場一致で可決したほどの兵器である。
「はい。逆神くん。5万円あげるよ」
「う、うひょー!! 仕方ないですねぇ、南雲さん! どれどれ? うわ、くっさい! でも、僕の『
「にゃははー。あの太り方だったら、脱皮しても不思議じゃないにゃー」
「ううっ。わたくし、太った殿方は苦手ですの……。想像しただけで胸が悪くなりますのよ……」
南雲はサーベイランスを起動させて、山根と連絡を取る。
「無駄だと思うけど、一応下柳則夫のスキルと照合してみて」と。
すぐにリアクションが返って来た。
『南雲さん、今日は冴えてるっすねー。ありましたよ、普通に。下柳のおやっさんも逃げるのに夢中でしたから、自分のデータ消し損ねてたみたいっす。それは『
「最悪の名前ですね! 良かった、僕、うっかり触るところでしたよ!!」
「オレ、触っちまったんでぇ……。青山、ウェットティッシュよろしくぅ……」
『
ならば、次に取り掛かるのは現状の把握である。
「アトミルカの基地はごふっ。異世界に多いと聞き及んでげふっ。ですので、がはっ」
「あはははっ。この先にダンジョンがありますよ。多分、その先にある異世界が我々の目的地なんでしょうねー。ははっ、すっごく面倒! はははっ」
和泉正春と雲谷陽介の意見には聞く価値があった。
と言うか、九分九厘そうだろうと南雲も思っていた。
「しかし、そうなると当初の計画からかなりの変更を求められるな。まず、ダンジョン攻略をしなければならなくなった。それも、アトミルカに気付かれないようにだ」
「あのぉ、南雲さん。わたし思うんですけど。皆さんって強いじゃないですかぁ。アトミルカに
莉子さん、ここぞで素晴らしい判断。
「少数精鋭でダンジョン攻略して、異世界に入ったら『
「逆神くん。君、5万円あげた瞬間に頭の回転の速度上がり過ぎじゃない?」
当初の計画は大幅変更。
急襲部隊のダンジョン攻略が始まる。
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