第544話 それがどうしたと言うんですの?


 もしあの時数百名ものダークエルフとハイダークエルフ達を見ていなかったら間違いなく声を上げていただろう。


「周りの景色といい、高島さんの気配を感じないところから考えても随分とまあ遠くまで飛ばされたみたいですわね」

「もし私達全員をこの距離転移させたのだとしたらぁ〜人間一人が出来るレベルじゃないと思いますのでぇ〜そういうアイテムか何かを使用したと考えるのが妥当ですねぇ〜」


 そして私と同じく辺りを見渡しながら小久保が感じた事を口にし、それに私が答える。


 逆にあの転移を水樹本人の力のみでやったのだとしたら……いや、あり得ないですねぇ〜。


 しかしながら本当に水樹個人の力で転移させたのだとしたらと考えるも直ぐにそれは無いと思い至るのだが頭の奥では万が一だとしてもあり得るのではないのか?と考えてしまう。


 それと同時に飛ばされた場所エルフの里であると事からわたくし達二人が人族ではない事に気付かれていたという確信を得る。


「敵陣の中でアホヅラ下げて棒立ちとは余裕ですわね」

「気持ちは分かるけど言葉を選びなさい。アホヅラなんて言葉、クロ様に聞かれても良いのですか?」

「そ、それは聞かれてくはないですわ。ですが、それはクロ様相手であってこの者達については別の話ですわ」


 そんな中でも特でも異質なオーラを放つ二人のハイエルフとハイダークエルフが敵意を持ってわたくし達に話しかけて来る。


「ちょっ、ちょっと待って下さいっ!! わ、私達は……私達もハイエルフとハイダークエルフなんですわっ!!」

「そうなのですぅっ! 彼女はハイエルフで私はハイダークエルフなのですぅっ!」


 彼女達のその姿を見てわたくしは咄嗟に自分と相方の正体を話す。


 それと同時にわたくし達は貴方達と敵対する意思は無いという思いも込めて。


 そして、わたくし達は魔族根絶の為に動いてはいたがそれと同時に同種族を探す事を第一の目的としていた。


 だからこそ彼女達から敵意を込められた視線を受ける事がこの上なく苦痛で仕方なかった。


「それで?」

「……え?」

「それがどうしたと言うんですの?」

「それはっ、わたくし達と貴方達は同族という事ですわっ! やっと、やっと見つけた同種族の仲間ではありませんのっ!!」

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