第470話
アタイは忘れていた。
本来殺し合いがどういうものであるかという事に。
いや、頭では理解しているつもりであった。
ただ、自分が強すぎてしまったため感覚が麻痺してしまったのであろう。
その代償は大きく、結果アタイは空を奪われ地に貼り付けられる。
そんなアタイを嘲笑いに来たのかアーシェ・ヘルミオネがアタイの前に姿を現わす。
「敵討ちってか……そんで、アタイにトドメを刺しに来たってのかい?アンタに殺されるのなら満足だね」
そういうとアタイはアーシェの前で無防備に立つと覚悟を決める。
アタイの次に強い女に殺されるのならこれ程の誉れは無い。
最後は盛った雌ではなく武人として死ねるのだから。
「何を勘違いしているのかしら?この世界で最強なのはお兄ちゃん。アンタの様な盛ったトカゲ如きが超えれる訳がないわ。敵討ちなんて勘違いも甚だしい限りね」
「しかし、結果はアタイがこうして奴を殺した………いや、引き分けだなこれじゃ」
再生する力も最早無いのか血が止まらない。
痛みもいつのまにか感じなくなった。
アタイはクロ・フリートを殺し、クロフリートによりアタイはこれから死ぬ運命。
先に死ぬか後に死ぬかしかそこに違いは無い。まさに痛み分け。分けたのはお互いの命。
「さあ、アタイを殺せ」
「【影縫い】………うーん……確か竜の破膜時に流れる血って万能薬の原料になるんでしたっけ?………楽に死ねると思うなよ?」
「ひうっ………!?」
いっその事 一思いに殺して欲しいと思ったのだがアーシェは【影縫い】でアタイを縛り身動きを封じるとストレージから一本の、とある物に似た棒を取り出しとんでもない事を宣う。
あぁ……そうだ……アタイは……。
アーシェから愛する者を奪ったという事に今更ながら気付く。
普通に殺される訳がないという事も。
◇◆◆◇
「何をしているのですかっ!?しっかりして下さいウィンディーネ!!早くクロ様に【氷華】を使用してなさい!!」
「イルミナ……?………っ!!【氷華】」
そうだ。
まだ蘇生出来ないと決まった訳では無いのである。
であるならば割れた時にダメージが発生し、尚且つ時間が停止したかの様に包み込んだ全てを氷らせ停止させる技【氷華】を使用する事をデモンズゲートで現れたイルミナによる喝で気付く。
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