第467話

 そしてクロはハンドルネームと種族名を名乗る。


 確かにこのキャラの種族名はヴァンパイアなのだが、だからと言って人間を捨てた訳では無い。


 そして信じようが信じまいが俺がこの世界の住人では無いというフラグを立てたからにはそのフラグを折らなければならない。


 そのフラグを折らなければならない以上、退路は無い。


「では、お互い自己紹介も済んだことだし、始めようかね!!久し振りの旦那候補なんだ。アタイを満足させる結果にしてくれよ、ダーリン。スキル【竜尾の一振り】」


 そしてお互いの自己紹介が終わったと判断したラースはそれを戦闘開始の条件であると言わんばかりに戦闘開始の宣言をすると一気にクロに詰める。


 そしてラースは勢いをそのままにクロへとスキル【竜尾の一振り】を発動させ叩き込む。


「っ……モーション無視の軌道とかバグかよ……っ!?」


 そしてラースの放ったスキルはクロの知るモーションとは異なっておりフェイクかとも思ったのだが、フェイクにしてはモーションが違い過ぎる。


 スキルと見せかけたフェイクだとしたらあまりにも雑過ぎる。


 そのためこのラースはスキルのモーションを無視してスキルを使えるのではないか? と考えてしまう。


「スキル【竜脚一蹴】」

「ぐうっ!」


 ラースは本来では有り得ない角度から真っ赤に輝いた右足をその長さを利用して正面にいるにも拘らず後頭部を狙って来た。


 何とか直撃をまぬがれはしたものの無視できないダメージと共に炎属性のダメージが追加で襲って来る。


 その攻撃に属性ダメージが付与されているという事は、当たって欲しくなかったのだがその考えはどうやら正しかったようだ。


「気付いたようだねダーリン。 これがアタイの強さの秘訣さ。 もちろんそれだけじゃないがね。 しかし、それをギリギリとはいえ避けているダーリンもなかなか見所があるじゃないか。 さすがアタイの未来の婿様だね」

「ホント、チートどころの話じゃねーぞソレ」


 もしゲーム時代にそんな能力を持つキャラを使えるのであれば運営に対して苦情殺到であろう。


 はっきり言って格闘武術の経験が無いものは切り捨てられるというのと同意でしか無い。


 故に格闘武術の経験がない俺からすれば目の前のラースは化物であり勝てる見込みがほぼほぼ無くなったと言って良いだろう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る