第468話この世界に住む住人を舐めていた
それでもゲーム内ではあるものの格闘武術経験者であるトッププレイヤーとの対戦経験から何とか防ぐ事はできるが攻め手に回れる事は出来ないため何とか距離を取り魔術で攻めに回れるよう立ち回るしかない。
「まったく、いつまでそのように亀みたいに防戦一方なんだい? 男ってもんは女をリードしてやるもんなんじゃないのかね?ダーリン」
「それで負けたらシャレにならないからな」
戦闘が開始してから半刻程が経過した。
周囲の岩々はラースの影響で溶けているものもあり、それら一つ一つがラースの放つスキル一つ一つの威力を物語っている。
「でもダーリンには残念だけどそろそろ終わりにしようかね。久々に婿になれると思える雄が現れたと思ったけどアタイの思い過ごしだったみたいだね。アタイも残念だよ」
ラースはそう言うとストレージから深紅に輝く西洋剣をストレージから取り出してくる。
その取り出す動作でさえ美しいと思えるほどにラースという女性は美しく、またそれに引けを取らないほどその取り出した西洋剣もまた美しい輝きを放っていた。
それはまさに名剣であり、ラースこそが相応しい一振りであるとその光景が物語っていた。
「なかなか良い剣じゃないか」
そしてクロはラースの取り出した剣を素直に褒める。
ゲームの感覚からすれば少しレア度が低い武器と言った感じなのだがこの世界においては破格の性能である事は間違いだろう。
それにタダでさえ武器を持っていないラースに押されガードして行くのがギリギリという状況であのレベルであろうと装備されればどうなるかは火を見るよりも明らかであろう。
そして剣を装備したラースを止められる訳も無くクロの腹部にラースの剣が突き刺さって行くのであった。
◇◆◆◇
「クロ様!」
ウィンディーネは走る。
あのクズを倒すのにここまで時間がかかってしまった事に苛立ちをクロ様の元へと走る力に変える事で解消していくのだが一向に苛立ちは消える事は無くはやる気持ちが余計に苛立ちを加速させる。
はっきり言ってこの世界に住む住人を舐めていた。
レベルが低いと言っても経験からすれば向こうのほうが私よりも遥かに豊富であったと今なら分かる。
圧倒的な戦力差を守る事に特化する事により時間を稼ぐという目的は見事達成してみせたのである。
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