第457話妄想がダダ漏れ
クロ様は私達を拘束する事などせず田舎に居場所がある者、また城を出て行きたい者達が城から出て行く事を咎めず、それどころか私達からすれば高すぎるほどの金貨、それも三枚もの金貨を渡し見送ったのである。
そればかりか城に戻ってきたい者はいつでも戻って来て良いという破格の待遇とも呼べる扱いをして彼女達を見送ったのである。
以前であれば考えられない待遇に罠ではないのかと思う者も少なくなかったのだが、結果その考えは思惑違いに終わり、そして一度田舎に帰った者の中に私達の待遇の良さを聞き出稼ぎの為に戻って来た者も最近ではちらほらと見かけ出し、その者達に罰を与える事もなかった。
「だけどクロ様の奥様方は羨ましいよね。 皆さん人間と亜人って事は私にもチャンスがあるかなー」
「な、ななななっ、何馬鹿な事を言ってるのっアマンダっ!?」
「あるんじゃないかしら? しかしここまで奥方様が人間と亜人って事はそういう趣味嗜好をお持ちであるという事なのでしょうし……そろそろ私達も御呼ばれされても良い頃よね。その時に一発当てれば良いのでは?アマンダ」
「お呼ばれっ!? 一発当てるっ!? ふふふ不誠実よっ!! そ、そそそ、それにクロ様との間にこ、子供を授かるなんて奥方様達に失礼よっ!!」
「マリ姉……ここまで動揺してたら説得力無いっす」
「どっ……なっ!?」
何を言っているのよこの娘達は!? クロ様との間に子供だなんて!! 子供だなんて……。
「子供……クロ様との……うふふふふ」
「マリ姉……妄想が口から漏れてる」
「クロ様との………っ、そんなわけないわっ!? クロ様との間に出来た子供、長女エリーチカとの家族愛を妄想なんかするわけないじゃない!!」
「マリ姉、それ墓穴なんじゃ……」
「………っ!!」
クロ様との甘い生活、そして産まれた子供と織りなされる日常を妄想し、その妄想の世界へとトリップしてしまったマリなのだが、アマンダがその姿に若干引き気味の表情をし「うへー…」と言いながらマリの妄想がダダ漏れなのを指摘する。
その事に動揺を隠せないマリは言い訳をするも焦りからか自ら墓穴を掘ってしまい、あまりの恥ずかしさから顔を隠すようにしてしゃがみこみ「うー」と唸り始める。
そこにはメイド内からマリ姉と慕われるメイドの姿は無く、しかしそのギャップが可愛いと周りにいるメイド達は思えてしまう程にはなかなか見れない一女性としてのマリの一面であったであろう。
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