第412話絶句
「………わかった」
俺の采配に不満があるのだろう事がドゴツのその表情から容易に伺える。
しかしドゴツとて自分の感情を優先し過ぎた場合の最悪の結果を分かっているだけに不承不承といった感じで受け入れる。
「リラはあの化け物から彼女達が一撃喰らい戦線離脱していった者からこちらの存在を化け物に勘付かれない様に回復魔術を、モーラスは後方の注意を、ドゴツは身体強化をいつでもかけれる準備を頼む」
「わ、分かりましたっ!」
「あいよ」
「かしこまった」
この状況だと各々の役割からできる事は限られており何も支持しなくても苦楽を共にして来たが故の阿吽の呼吸も相まってスムーズに動けるだけの信頼と実力を仲間達は身に付けているのだが、絶対では無い。
限りなく低い確率だとしても万が一呼吸が合わない確率はゼロではないのなら『出来るだろう』で行動するのは仲間の命を預かるパーティーのリーダーとしてはやってはいけない事の一つであろう。
だからこそ初心者冒険者でも分かるぐらい当たり前の事であろうとしっかりと指示を飛ばし、仲間達は素直に各々の返事で頷いて行く。
この様に支持を飛ばすのはそれこそ数え切れないほどやって来たのだが一度として返事が統一した事がないあたりが俺達らしいと、その非日常の中の日常風景に少し張り詰めた空気や緊張感が和らぐのが分かる。
ほんとに頼もしい仲間達である。
そんな中自分はスキル『聞き耳』を発動させ緋色亜竜に無謀にも挑もうとしている彼女達の会話を盗み聞く。
彼女達の会話を盗み聞く事により彼女達がどの様に対策をする事が目的である。
行動パターンを知るのとそうでないのとでは難易度が違ってくるからである。
その為仲間に支持を飛ばした後自分は、自分達の生存率を少しでも上げる為にも彼女達の会話に集中する。
『良いですか?どうやらあの図体だけがでかいだけのトカゲ擬きは同種の亜種、もしくは親に当たる強さの様ですが先に言った通り討伐にかける時間は15分です。それ以上は認めません。それこそ倒せませんでしたなんて情けない結果だけはならない様に………では検討を祈ります』
開いた口が塞がらないとはこの事であろう。まさに絶句である。
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