第405話男性冒険者のこの気持ち悪い視線

 音の中心にいるミセル達は以前なら獣達同様に恐れていたのだが、人間慣れるもので今では恐怖どころか雑談しながらお茶を嗜める程である。


 更に言えばこの獣達の混乱を利用し、ギルドで受けた依頼の討伐対象を討伐出来るくらいには最早このメンバー間では日常の一部と化していた。



◇◆◆◇



「はい、確かにコボルトの親とその群れの討伐対象箇所である右上の牙ですね」


 討伐対象であるコボルトの親を討伐するまでに色々とあったのだが今回も何事もなくこの様に全員無事にギルドまで戻れた事に一応は安堵する。


 因みに今回の討伐対象であるコボルトの親はミセル達がいつの間にか討伐していててくれていたので頼もしい限りである。


「しかし、毎回思うのですが……男性冒険者のこの気持ち悪い視線はどうにかならないのですか?毎回毎回こうですと辟易してしまいます」

「そりゃ仕方がないですよセラさん。ただでさえ少ない、しかもいたとしてもギルド職員志望が殆どで現役ギルド職員に囲われているような場所に純粋な女性冒険者……しかも物凄くレベルの高い綺麗所が集まっているパーティーなのですからねー、目立ちもしますし男性冒険者からすればなんとかしてお近付きになりたいと思うのも致し方ないっしょー」

「ま、誰とは言いませんが一人身体の部位が平均以下の人は居るんだけどねー」

「ふーん?……誰とは言わないんですが一人、少し、いえ…かなり頭の足りない人もいますけどねっ!」


 そして毎度毎度街に出れば男性の視線が集まり鬱陶しく思っていた事が口から出たのだろう。


 それを聞いたベッテンが返し、レイチェルが補足し、背後に立っていたミセルに頭を殴られる風景を見て思わず笑ってしまう。


 クロ様と一緒に冒険をしていた時もこの様に楽しかった事をつい昨日の事の様に思い出し、幸せを感じながらも少しだけ寂しくも思う。


 そしてこの旅を通じて分かった事もある。


「なあ嬢ちゃん達、なんなら俺らのパーティーに入らないか? 嬢ちゃん達だけで冒険者やってくのは何かと大変だろうし……な?」


 この様に声をかけて来たり挑発的に絡んで来たりする連中はどこのギルドでも上位パーティーに位置付けられているという事である。


 だからこうして自分達以外の上位パーティーがいない隙を狙ってこの様に声をかけて来るのである。

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