第348話彼女の目が真剣そのもの

 不思議な事もあるもんだなと思うもののサラにその事を指摘され苦し紛れな言い訳をしながらサラの頭を撫でてあげると「よろしい」と嬉しそうに撫でらてているのでなんとか先程の事で詰められる事は無くなったとみて良いだろう。


「私もまだまだ撫でられたり無いんだけど?」


 そんなフレイムとサラのやり取りを見てキンバリーが期待に満ちた視線を向けて来る。


 その尻尾はブンブンと振られており、その光景を見てしまったからには撫でないという選択肢はクロには無い。


 キンバリーは若干乱暴に撫でられるのが好きみたいなのでサラを撫でている手ではない方の手でサラと違い乱暴にワシャワシャと撫でてあげると、尻尾もまた先程よりも乱暴に振っているのが見える。


「わ、私もおかわりを所望します!」

「わたくしもお願いしますわ」

「………私は撫でてくれないと…システムに故障を生じる可能性がある為…可及的速やかに撫でて下さい」


 そしてキンバリーのおねだりを見てターニャにルル、そして楓とクロにおねだりをして来るので順番に撫でてあげる。


 そしてその光景を遠巻きに羨ましげに見ているメアとミイアを呼ぶと皆んなと同じ様に撫でてあげる。


 未だ過去の事を後悔し、後ろめたい感情を持っている為かメアとミイアは皆んなが集まる状況では一歩下がってしまう癖がある。


 自分自身は嫌われるよう仕向けていたのも事実である為、あの事で二人を悪く思うどころか現状では申し訳なくすら思っている。


 その点に関しては出来るだけ皆んなと平等に接して行けるよう注意しているのだが、こればかりは精神的な事なので時間が解決してくれると期待したい。


「妻達との貴重な時間に申し訳なく思うのですが、少しお時間よろしいでしょうか?」

「……何でしょう? スフィア・エドワーズさん」


 なんやかんやで全員を撫でくり回していた所スフィア・エドワーズが顔を少し赤らめながらその輪の中に入って来る。


 どうやらクロと話をしたい様なのだが彼女の目が真剣そのものなのでそれなりに大事な話なのは間違いないだろう。


「聞かれたらまずい内容ならば場所を移して二人っきりになれる場所に移動しようか? ここじゃ身内だけでなく第三者の目も多いしな」

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