第329話どれ程の強さが必要なのだろうか?
それに反応したヒュドラはその巨躯に似つかない程の初速を持ってして獲物を取られまいと追いかけるのだがトップスピードに入る前にアルによる霊魂焼却に呑まれ足を止めてしまった様である。
「怪我は無いか?」
「そんな事どうだっていい! それよりもなんて事をしてくれたんだ!! お前の奴隷が死んでもいいのか!? 失望した!! お前がそんな奴だとは思いたくなかった!!」
「俺の装備を施したアルがヒュドラ如きに負ける筈が無いだろう? それよりも空気中に気化した毒のせいで目が充血しているみたいだ。 治させてもらう」
フレイムを優しく地面に下ろすや否や怒鳴り散らされるのだがそんな事など御構い無しにフレイムに鑑定を施し状態異常が無いか確認し、目がやられている事を知るとすぐさま状態異常と体力を完全に回復させる。
「お前はヒュドラがどんな存在か知らないのか!? 歩く天災だぞ!? 私が…………は?」
それでもなお捲し立てるフレイムなのだが突如空から巨大な炎の剣が現れ、それがヒュドラの巨躯を突き刺すとその剣は消え失せ、その代わりヒュドラを猛火が襲い暴れまわる最中、真っ赤に燃え輝く剣でヒュドラの頭を二つ程切り落とすアルの姿が視界に写り言葉を失う。
そして気付く。
アルの腰に生える黄金の美しい九本の尻尾を。
「なんだアレは……それに九本の尻尾……アル…………まさか……アル・ヴァレンタイン……」
ヒュドラですら圧倒する強さを誇りえる九尾族のアルと言う名前の女性。
フレイムはそんな女性を一人しか思い当たる節がない。
しかし、強者として育成された戦闘奴隷なら今戦っている女性アルが奴隷なのも頷けるのだが、もしアル・ヴァレンタインであるならば話は変わって来る。
トリプルSすら越えると噂されていたアル・ヴァレンタインを隷属させるには一体どれ程の強さが必要なのだろうか?
それ程の男性に決闘を申し込んだ事に今更ながら恐怖を抱いてしまう。
「なんだ、アルの事を知っているのか?」
そしてクロはそんなフレイムの心境など知りもせずさらっとアル・ヴァレンタインだと肯定する。
◇◆◆◇
「ご主人様、倒して来たぞ」
「お疲れ様」
アルの強さは圧倒的で、あのヒュドラですら危なげなく一時間と経たずに倒すとクロの元に戻って来る。
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