第306話奴隷の所有者を変更
その為か女性は深く深く記憶に刻み付けるかの様に手鏡を見入っていた。
「あ、これも勝手ではありますが、貴女のステータス欄にそこの男性の奴隷と記されていたので主人の項目をあの男性から私に変えさせていただきました。 ですので貴女の名前を教えてくれませんか? ちなみに私の名前はイルミナと言います。姓を名乗るとすればフリートですので、イルミナ・フリートと覚えて下さい」
さらっとクロと同じ姓、フリートを付けるイルミナなのだが口に出すと妙にリアリティが増してきた為一瞬ではあるもののクロとの新婚生活を妄想してしまう。
「わ…わた……名前は……エマ・スミス……です」
そんな妄想をしているイルミナから渡された手鏡を強く握り締めながらエマと名乗った女性は新しい自分の主人だという女性、イルミナの目を怯えながらも見詰める。
「とりあえず今はこれから赤竜の逆鱗を採取して来ますので……そうですね、エマも一緒に行きましょうか?」
「は……はい。 イルミナ様」
「後、エマの所有者は私になったのですが私の所有者でありご主人様はクロ・フリート様です。ですので結果的にエマのご主人様はクロ・フリート様ですので忘れないで下さい。 では赤竜の逆鱗採取に行きましょう」
イルミナはそう言うとエマと子供達を連れてギルドの外に出ようとするもやはりすんなり出る事はできず、先ほどイルミナを囲んでいた冒険者達がギルドの出入り口を塞ぐ様に立ち、イルミナと対峙する。
ちなみに足を失ったアビエルは先ほどから絶叫を上げながら床を転がり回って居るのだが腫れ物扱いされるが如く誰も彼の相手をしようとしない。
そんなアビエルなのだが仲間であり部下でもあるもの達がイルミナを再度取り囲んでいるのを見ると先程の痴態は鳴りを潜め這う様にイルミナの方へ向かうと仲間の肩に捕まり一本の足で立ち上がる。
「オイ! ふざけてんじゃねえぞ!? ゴラ! 人の足を奪いやがって何呑気に会話しちゃってんだよ!? そもそも奴隷の所有者を変更できるわけないだろ? アホなの? さすがFランクさんですね。 オイ、エマ! このクソ女を羽交い締めにしろ! もう許さねー! 俺の女にしてやろうと思ってたんだが、やめだ。 ボコって犯して殺してやるわ! 俺の足を戻すんなら奴隷で生かしてやるよ! そもそも、よくよく考えてみたら段位六の魔術なんかある訳ねだろクズが! どうせ俺の足を消した魔術はタネがあるマジック的な物だろうが! 驚かせやがってからにっておい! 何無視してここを通ろうとしてグベホアッ!?」
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