第292話男性を見る目が無いにも程がある

 やはりあの男性に洗脳されているのではないのか?


 そう思うもあの時魔力を垂れ流したにも関わらずサラは相変わらずクロとか言うあのクソ男にゾッコンに見えた。


 もし本当に洗脳していたとするならば、あの魔力の前では洗脳するに当たるパイプはズタズタになり、洗脳は解ける筈なのである。


「そしてなによりも、クソ男の事を悪く言った時のあのサラの顔だ! 男性を見る目が無いにも程があるだろう!」


 思い出すはクソ男の悪口を言われ怒りを隠そうともしないあのサラの顔である。


 はっきり言って、フレイムはサラを信頼していたからこそ落胆もまた大きく、それは苛立ちとなってフレイムの中を駆け巡る。


「……本当に、どうかしている」


 そう呟きドシッと備え付けのソファーに腰を落とす様に座りこんだ時、扉がノックされる音が三回聞こえてくる。


「………入れ」

「失礼します!! お休みのところ申し訳ありません!」

「良い。 で、何だ? そんなに焦ってからに」

「はい! 実は害魔獣の氾濫によってグリフォンが湧いた様です! 現在我々で対処していますが……」

「もう良い! グリフォンが湧いたのなら説明している暇などないであろう、すぐ行く。場所だけ教えろ」


 こんな場所で伝令兵が血相を変え私の部屋にやって来るというだけで伝令兵が伝令する前にある程度内容を把握したフレイムは、愛刀の赤い剣を手に取るとそのまま言われた場所へと向かう。


「戦況はどうなっている?」

「グリフォンに手も足も出ず、負傷者が増える一方ですが死者はまだ出ていないのが幸いなぐらいです!」

「そうか、そんな状態で良く持ち堪えてくれた………兵を下げろ! 私が出る!」


 言うが早いか私は目線の先、雇った冒険者や兵士達をまるで遊んでいるかのように薙ぎ払っている一匹のグリフォンへと駆けて行く。


 それにしても目の前のグリフォンは遊んでいると言うよりも自らの強さを再確認しているかのようにも見えなくもないが、そんな事を考えるよりも今は戦う事に集中する。


 グリフォンは鷲の上半身にライオンの下半身を持ち、風を操る事の出来る魔獣である。


 攻撃力、防御力共に一般的な亜竜よりも劣るのだが背中に生えた大きな翼と風を操る能力により空を飛ぶ事ができ、またその飛行能力も高い。


 故に討伐ランクは例外を除きAと位置づけられている。


「久々の大物だ。直ぐに死ぬんじゃあないぞ? 鷲擬き。スキル【火炎斬】」


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