第270話前世でもこうやって無理やり犯せば良かったんだ

そして部屋を予約しているアーシェは恍惚とした表情をしていた。


 いまこの時が幸せ絶頂だと言わんばかりである。


「あ……よだれが垂れて来ちゃった」


 ジュルリと涎を啜りエヘヘと恥ずかしそうに、しかし幸せそうに笑うアーシェはゾッとはしたが、それでも可愛く思えたのだから悔しくも思う。


 現にカウンターの向こう側にいる年老いた女性店員ですらアーシェに見惚れている事から今のアーシェの可愛さは反則レベルであるとも言える。


 それでも騙されてはいけない。アーシェの中身はまごう事なき変態なのである。それも救いようの無い変態。紳士とかそんなレベルはとうの昔に脱ぎ去って久しいと言える程の変態なのである。


「こちらでございます。お嬢様がどれ程鳴いても部屋の外にはけして聞こえません。厳重に、何重にもそのような魔術を施させて頂いておりますゆえ」

「ありがとう。私の鳴き声は彼にしか聴かれたくないしね」

「あらあら、若いって良いわね。ではごゆるりと」


 そしてクロはとあるピンク街にある宿屋の一室へと入って行くのであった。


 目の前に有るのは至高の果実である事は間違いない。


 それを自分の好きに出来るというのに一向にテンションが上がらないのはもはや仕方のない事だろう。だってアーシェ怖いし。


 そんなクロを見かねたのかアーシェが自身の魔術で束縛しているクロへとしなだれかかり、無駄に育ったたわわな胸をクロへと押し付ける。


 アーシェの呼吸と共にその暴力的な柔らかな感触や女性特有の柔らかさを感じ、流石のクロも反応せずにはいられない。最近何故か朴念仁と呼ばれてはいるのだがクロとて、朴念仁とて男性なのであると声高々に言っておきたい。


 その反応をアーシェは自身の手で優しく包むと涎を垂らしながら嬉しそうに笑う。


「はぁ、前世でもこうやって無理やり犯せば良かったんだよ」

「犯すって前世では犯罪ですから!てかこの世界でもやっちゃダメな事だから!」

「いまこの時はそういう契約結んだ上で犯すんだから大丈夫だよお兄ちゃん!」


 犯される契約は結んだ覚えは無いわ!!と思うものの言ったら何をされるか分からない為黙っておく。


 今尚涎を垂らしクロを濡らして行くアーシェのあの表情を見た上で、やはり言う事は出来ないのであった。

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