第271話全裸でクロを挟む様に添い寝

 目が醒めると同じ布団に全裸でクロを挟む様に添い寝をし、ゆっくりと呼吸しているアーシェとイルミナが左右にいた。


 二人とも実に幸せそうな寝顔である。


 因みに、なぜ俺のゲーム時代のキャラクターであるイルミナがここにいるかと言うと、欲望の箍が外れたアーシェ一人を野放しにするにはあまりにも怖すぎた為である。


「……………やってしまった」


 そして今現在クロは昨日の事をひと通り思い出して幸せそうな二人とは対照的に頭を抱えて青ざめて行く。


「………お、おはよう……お兄ちゃん」

「おはようございます……御主人様」


 クロが起きた事によりどうやら二人を起こしてしまったみたいでまだ眠たそうな表情でクロに朝の挨拶をしていくのだが、少し照れた感じで挨拶をする二人を見て心を奪われそうにるのを鋼の心でストップをかける。


 その鋼も最早ボロボロなのだが。


「なに朝から頭を抱えているのよお兄ちゃん。 こんな美人二人の初めてを奪えたんだからもっと喜んでくれてもいいじゃない……まぁお兄ちゃんの気持ちは分かるんだけど。 あとやり足りないなら今からもう一戦しても良いんだよ?」

「…………しません」

「御主人様………御身体が優れないのでしたら、一度白い物を出して差し上げましょうか? あと奴隷契約でもしましょうか?」

「…………出さないし奴隷契約はしません」


 これが夢ならばどんなに良かった事か。


 しかし現実は二人の美女がクロの心を今もなおガリガリと削って行く。


 昨日の夜……少し考えれば二人が組んで罠を仕組んでいた事は容易に見破れていただろう。


 しかし緊張感が緩みきっていたクロはそのまま彼女達の言葉を鵜呑みにし、誘導されているとも知らず更に若干乗り気であの様なプレイに走った上に二人と一線を超えてしまったのである。


 もはや途中からは精神的にも正常では無くなっていたのだろう。


「そんなに心配しないでも大丈夫よお兄ちゃん。 ちゃんとお兄ちゃんの彼女達には許可を得てるんだから」

「そういう問題じゃない。 これは自分自身の問題だ…」


 そうなのである。


 思えば昨日あの状況でクロが一人で帰るという所から既におかしかったのである。


 いかに自分が愚かなのかを改めて思い知らされている様で実に情けないことこの上ない。


「奴隷契約は後日という事で、そろそろ帰らないとセバスチャンに怒られてしまいますので私はここで帰らせて頂きます」

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