第255話三蔵法師が探し求めた天竺


「クロさん……あぁクロさん……あんっ、クロさんの息がっ」

「ちょ、ちょっとターニャ変わりなさいよ!うらやまけしからん!」

「あと一週間待って下さいキンバリー……あぁ、クロさんの匂い…クロさんの息づかい……んっ」

「ちょっ!?一週間って、馬鹿なこととを言ってないで変わりなさいって!」

「クロさんクロさんクロさんクロさんクロさん…………すぅー……………はぁー……っクロさんの頭の匂い……たまらないです」


 ターニャの行き過ぎたスキンスップが羨ましく思うキンバリーがその立場を変わって欲しいと半ば強引に引き剥がしにかかるのだがそうすればする程ターニャは引き剥がされまいとクロに抱きつき、その際鼻をクロの頭髪に埋め深呼吸までしだしターニャの顔はとろけ緩みだらし無い表情を浮かべる。


「ターニャ……キンンバリーもそう言いてる事ですし何よりみんなのクロです。クロの頭の匂いを嗅ぐなんてうらやまけしからん……じゃなくてっ、独り占めは良くないと思いますのでわ、た、し、と、っ…変わりなさいっ!」


 そしてそんなターニャの行き過ぎたスキンスップによりサラまでもがキンバリーと一緒にターニャを引き剥がしにかかる。


 あぁ…前後左右に違った柔らかさを持ちながらどれも甲乙付けがたい魅力的な感触が今俺を包んでくれている。


 これがかの三蔵法師が探し求めた天竺ではないのだろうか?きっとそうなのだろう。


「私もお兄ちゃんの頭の匂いを嗅ぎたいから早く変わって下さいね!」


 その瞬間空気と時間が確かに凍った気がした。


 前後左右からあの幸せな感触があるという事は四人分のお胸様があるわけで、今いるメンバーでこれ程の質量を持つお胸様をお持ちのお方は大人の姿になったルルか楓ぐらい……しかしルルは今居るものの残念ながら少女の姿。


 ならばさっきの声の主は楓か……楓であれ…楓であって下さい何でもするから。


「ん?今お兄ちゃん「何でもする」って言ったよね?」

「アーシェ・ヘルミオネ…今貴女からただならぬ雰囲気を…感じとりました。マスターから直ちに離れて下さい……」

「……人の思考を勝手に読まないでくれ……あとお前には言ってない…断じて!」


 しかしクロの願いは無残にも打ち砕かれ、既にほぼその人物もといストーカーであると確信めいたものがあったのだが楓によりその人物がアーシェであると確定してしまう。

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