第254話ターニャが膝立ちであるという事
「メアさん……一応クロさんは私達の彼氏であり、メアさん達は一度はクロを見捨てたという事をお忘れではないですか?」
そしてメアのその姿を見て珍しくもターニャが厳しく指摘する。
ターニャとてメアとミイアの行いとそれでもクロに対する態度に対し良く思っていない為我慢出来ず自分らしくもない行動をしてしまう。
それもこれも全てはクロを想っているからこそなのだが、だからこそ盲目でもあるのは致し方無い事である。
「そもそも本来なら私もあなた達の様にクロさんと肌を密着させてイチャイチャしたいのに……は、恥ずかしくて今までどれほど我慢して来たと思っているんですかっ!ど、どいて下さい!」
そう言うとターニャは持ち前の、牛の獣人としてのパワーをここぞとばかり使いメアとミイアをクロからひっぺがすとミイアがいた場所、クロの膝の上を陣取るとミイアがそうしていたように正面からクロに抱きつく。
ただミイアと唯一違う点はターニャが膝立ちであるという事である。
それによりクロはメアとまた違った柔らかさを頭全体使い感じ取ってしまう。
その際自然とクロの口元が緩んでしまうのは太陽が東から昇り西に沈むのと同じくらい覆せない事であるとクロは思う。
だからこそ、抗えないからこそ、先程から感じる殺気が更に膨れ上がる。
しかしその殺気もクロの「お前の慎ましやかな胸もそれをコンプレックスとしているお前も俺は好きだ」という妙に力が入った口パクを読み取ると急に萎み始め今度はピンク色のオーラを撒き散らし始める。
「お、お前達はクロが魔族と聞いてビビらないという事は、既にクロが魔族であると知っていてクロと付き合っているんだな」
「ええ。そしてあの大魔王だと言う事も皆んな理解して付き合っています」
そんなターニャ達を見てメアが羨ましそうに、もう手に入らない大切な何かを思い出す様に呟くと、誰にも聞かせるつもりが無いその小さな呟きにサラがどこか誇らしげに答えてくれる。
「クロだから好きになったんです」
あの時自分もサラの様に胸を張ってそう言い返せれたらと、あの日から尽きぬ後悔が今日は一段と強くメアを襲う。
それはミイアとて同じ事でありやはりメア同様に胸をしめ付けられるようである。
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