第241話ミイアさんとメアさんですか……

 同じ穴の狢なのはわかるのだが其れは其れ此れは此れはである。


 もうこれ以上彼女を増やしてなるものかとサラはあの日に決めたのである。


 クロに三人も彼女が出来た理由の一つに、クロが此処までモテる程のスペックだとちゃんと認識していなかった私自身の甘さも無いとは言えないのである。


 であるならば対価に見合った行動は必要であるだろう。


 あの日からクロの下着を嗅げる日が三分の一に減ったし!私だけのクロだったのに!しかもしかも……やっぱりアルとは一線超えてたんですね……それはそれでショックですが、性欲が無いわけでは無さそうですしいずれは………あぁ、クロったら強引なんだから!もう……仕方無いですね。今日だけですよ。


 なんだかんだで独占欲が強くむっつりスケベ全開なサラの妄想は今日も絶好調である。


 そして何時もなら静かに荒ぶるこの街で剣帝の二つ名を持つサラ・ヴィスティンに喧嘩を売る者は居ないのだが今日は何時もと違い初めて見る顔の二人が静かにサラの前に出てくる。


「なら私が名乗りを上げますね……サラ」

「わ、私もっ……名乗りを上げるぞサラ!」


 その二人はサラがよく知る人物であった。


 一人は前回見た時の様な何処か儚げな雰囲気は鳴りを潜め、静かにしかし確かに燃えるうちなる闘志を宿してサラの前に現れる。


 逆にもう一人はその赤髪の様に燃える闘志は鳴りを潜め、まるで悪事が親にバレた子供の様な雰囲気を纏いそれでも譲れない者の為にサラの前に現れたかの様に思える。


「ミイアさんとメアさんですか……以前ギルド会議でお会いして以来ですね。以前お会いした時と比べるとお二人とも雰囲気がガラッと変わった様に見受けられますが………それはクロの影響ですか?」


 そしてそんな二人を懐かしく思い話したい話題なども数え切れないほどあるのだが、二人が今サラの前に現れ名乗りを上げたのなら……それすなわち敵と見て良いだろう。


 ギルド職員仲間として懐かしみ友情を確かめあうのは二人を完膚なきまでに叩き潰してからでも遅くはない。


 そう思いサラは友人であるのはずの二人に本気の殺気を放つとその殺気を感じ取り周りにいた女性達がテーブルや椅子を二人の周りから片付け、遠ざけて行く。


 しかしそれ程の殺気を当てられてもミイアとメアの二人はそれを押し返すが如く更に前へと一歩踏み出す。



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