第226話そ、死ぬまで



「でしたらブラッド様には引き続き帝国の政に関わって頂きましょう……今まで私達を欺いて来たツケを帝国に貢献する事で払ってもらいましょう。そう、死ぬまで」


 そんな中のベッテンがブラッドに近ずくと笑顔でそんな事をのたまう。


 その光景を目にして不謹慎ながらもやはり女性は強いと思ってしまうのは仕方ないだろう。


「し、死ぬまで……」

「そ、死ぬまで。いいでしょコンラッド大佐?」


 そしてベッテンの出した案をブラッドがまるで死刑宣告を受けた様な顔で聞き返すも内容はやはり変わらないどころかコンラッドに了承を得ようとしだす始末である為なおタチが悪い。


 そして件の男性やルシファーという少女に簡単に破られはしたもののブラッドはオートスキルさえ破られなければまさに不死身かつ不老不死である。


 死ぬまでという事は半永久的にと言っているのと変わらない。


「……そ、そうだな……他にいい案が無ければそれで良いんじやないか?」


 しかしこれといって良い案が浮かぶわけでもなく結局ベッテンの案に賛成する様な返事をしてしまう。


「あ、あの……クロ・フリート様…っ!わ、私はセラ様のパーティーに入れさせて頂きましたレイチェル・グランと言います!!このまな板はミセルと言いま…っグヘァッ!!」

「………コホンッ。私はミセル・ブラウンと申します。そこで転がっているバカと一緒にセラ様のパーティーに入れさせて頂きました。この度はクロ様を、そしてクロ様の闘いを拝見させて頂き大変光栄でありますッ!」

「………あ、ああ。そんな大層なものじゃ無かったけどな…。それと、こちらこそセラ達の事を宜しく頼む」


 そしてこちらがブラッドをどう扱うか悩んでいる間、セラという女性の従者であろう冒険者風の女性二人はこちらの事情などどうでも良いといった感じで件の男性、クロ・フリートへ挨拶を済ます。


 そして冒険者風の女性従者二人に遅れてセラ、ウィンディーネ、ルシファーがクロ・フリートという男性の元へ駆け寄る姿が見える。


 その姿からは圧倒的な強さを持つ戦乙女だという事は想像もつかず、むしろ恋に初心な街娘だと言われた方がしっくり来るだろう。


 そんな彼女達、特にウィンディーネの姿を見て恋とまでは行かないも多少なりとも異性として気になり始めていたコンラッドは微かに胸が痛みだす。

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