第223話僕はヴァンパイアであり、真祖なんだ
見た目だけならルシファーも人間そのものなのだがルシファーの様に人間に化けている闇属性に特化した何者だろうと推測する事によりブラッドのプライドは何とか消失せずに済んだ。
しかしそのプライドのせいで判断を鈍らせ、目の前の男性もまた人間に化けている可能性まで考えるほどの余裕をブラッドは持つことが出来ないでいる。
そこまで考えれる余裕が持てなくても辺りを見渡す事が出来れば彼が只者では無いと分かる事が出来るかもしれないのだが頭を掴まれたままではそれも難しいだろう。
もし見渡す事が出来ていたのなら彼に向け片膝をつき頭を下げているルシファーやセラ、ウィンディーネの姿が見えていただろう。
そして彼女達に習うように従者の人間であろう冒険者風の娘達も彼に片膝をつき頭を下げ出す。
その目には敬愛や尊敬といった感情が含まれていたように見えた。
「だったら何だと言うのだ?お前はこの俺が人間だから大事なものを奪っても構わないと言うのか?俺やルシファーの想いや考えを度外視して、人間が主なのが分不相応だと何だと言い奪うのが正当化されるのか?自分より下の種族には何をしても許されるのか?」
「そ、そうだ………僕はヴァンパイアであり、真祖なんだ。人間だって地面で這いずる虫達の事をわざわざ考えて歩いたりしないだろう?だから僕も下位種族の事を考えるという意味の無い事はしない。寧ろ人間達は例え命を落とそうとも僕に関われた事を感謝するべきなんだ」
そう答えるブラッドの言葉に嘘偽りなどといった感情は見受けられずそれが当然だと本気で思っている事が伺える。
その事実を分かってはいても少しだけコンラッドの胸が痛む。
どうやら自分が思ってた以上に帝国、そしてブラッドに対して愛国心と尊敬の念を抱いていた様だ。
「ほう、貴様曰く人間はヴァンパイアの下位種族らしいがそれを証明できるものが有るのか?所詮真祖と言えどヴァンパイア。太陽の下では人間どころか犬猫にすら勝てまい?なのに太陽の光が届かないヴァンパイア有利な場所で人間よりも強いと言われてもな……」
そして件の男性は燻んだ目をブラッドに向けながらまるで人間よりもヴァンパイアの方が下位種族だという様なニュアンスの事を喋るなか、ブラッドの身体が一瞬淡い黄緑色の光に包まれ一瞬にしてブラッドの体力が回復したのが分かるぐらいブラッドの血色が良くなる。
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