第216話五百年集めたコレクション

 その姿はまるで水の精霊の女王をイメージしてしまう程のオーラを放っている。


「これが貴方が言う『五百年集めたコレクション』ですか……ヴァンパイアだけが使えるスキルで自分よりレベルが低い相手に有効であり、死ぬ代わりに腐らない身体を与える……そして集めたコレクションを今【生ける屍体】で操ると。死者を愚弄するその行為……我が夫の名の下にお仕置きですよ!!」


 そこまで一気にまくし立てると最後に決め台詞の様な事を言った後「ビシッ」と前から考えていたのであろうまるでセーラー服を着て戦う戦士の様な決めポーズをするウィンディーネ。


 その瞬間ウィンディーネの衣装がグレードアップし、その背中には氷の羽が生える。

 まるで何度も練習したかのような演出である。


 その光景を見たセラ達はあのウィンディーネがまさかこの様な事をするとは思っておらず、帝国側はあのブラッド・デイモンを前にして緊張感の欠片も感じられないウィンディーネを見て意味は違えど生まれた重い沈黙が辺りを支配する。


「………クロ様のご友人であられる攻殻機動腐女子様の決めポーズとセリフを見てから………いつか私も自分で考えた決めポーズとセリフを使ってみたいなーと……うぅ」


そしてウィンディーネの青い身体は赤く染まり始め羞恥に染まりながら先程の一連の流れの言い訳を始める。


「何も恥ずかしい事ではないですよ。しかし、クロ様の妻は私ですのでクロ様の事を『夫』というのは間違いですから訂正したほうが良いでしょう」

「……妾の間違いではなくて?セラ」

「………今日という今日はどちらが本妻か決着を付けなければならないようね、ウィンディーネ」


 そして二人はブラッド・デイモンを前にして言い争い始める。まるでブラッド・デイモンなんか居ても脅威にすらならないと言わんばかりに。


 そしてこの一連の流れを前にブラッドが更に怒りに顔を歪ませているのがここからでも分かる程の殺気と魔力を周囲に撒き散らしているのが分かる。


 その殺気と魔力の濃度にコンラッドは死を覚悟し、恐怖で感覚が鈍く鳴る足に喝を入れる為太腿を殴る。


 それでも自らの呼吸は荒くなり先程から汗が滝のように流れ止まる気配を見せず、足は喝を入れても感覚は治らず力が入らないでいる。


「こ、ここここ…こけこけ……虚仮にしやがってぇぇぇえ!!もういい!!僕のコレクション達によって殴り殺しにしてやる!!」

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