第209話貴方達はどうするのですか?

「そんな事よりもご飯。お腹空いた」

「なんかもうこの光景に驚かなくなった自分が嫌だ」

「無乳に同感」

「むっ、無乳ってどういう意味よ!?」

「貧乳はまだ胸がある表現でしょ?だから胸の起伏がないミセルにはっグボヘアッ!?」


 そして彼女達はこの部屋に入ってきた時同様に緊張感の無い雰囲気のまま休息に入り、その光景に先程までの惨劇は夢だったのではと思ってしまいそうになる。


 いったい俺と彼女達との実力の差はどれ程離れており、どれ程の鍛錬をすればあのマンティコアを目の前にしても危機感無く立ち回れるのだろうか?


 それ程の力が有れば腐った貴族連中の思惑も気付かずダンジョンを制覇できたのだろうか?


「貴方達はどうするのですか?」


 いくら考えても答えは出るわけもなくただ立ち尽くしているとウィンディーネという女性が話しかけて来た。


 これから俺たちはどうするのだろうか?


 最深部手前のフロアボスでこの様である。


 せっかく助かった命をわざわざもう一度危険に晒す必要も無いだろうとは思うものの、彼女達と最深部ボスとの戦いを観戦したいという欲求も沸いてくる。


 しかし、まずは自分達の復讐だろう。


「そうだな……まずは帝国に戻り自分達の復讐を果たそうかと思う」

「……貴方達が復讐しようがしまいがそんな事私達には関係ないわ。そんなどうでもいい事じゃなくて、貴方達はご飯はいるのか聞いているのよ?」


 ウィンディーネの言葉にコンラッドが答えるとベッテン含めた部下全員が決意を宿した目を向けて頷くのが見える。


 やはり皆今回の一件は思う所があるのだろう。


 しかしコンラッドの決意、帝国軍の青の口から反旗を翻す発言に目の前のウィンディーネは「そんな事」「どうでもいい事」と切って捨てると一緒に食事を取るかどうかを聞いてくる。


 そんな態度にベッテンが反論しようとするも目の前の女性の実力を、そして命の恩人でもある事を思い出し口を閉じる。


そのベッテンからは帝国軍としてのプライドも、神童と言われ育った意地も、期待に答える為に努力してきた自信も、今のベッテンからは見る影すらなくただ項垂れてしまっている。


「クク……ハハハ……アッハハハハハッ!いやすまない。そうだな、実は腹が減っているのでここは素直にご馳走して貰うとしよう」



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