第194話【閑話】スムージー3
あ、やっぱり私はここまでのようだ。レイチェルのニヤけた笑みを私の手で恐怖に塗り替える事がついぞ叶わぬ夢となってしまうのか?
一縷の望みを託してウィンディーネ様とルシファー様を見やると二人はクロ様との思い出話しに花を咲かせている。
こちらの世界に戻って来るのはまだ時間がかかりそうな程の熱量を二人の会話から感じ取りいよいよ跡が無くなる。
そしてセラ様に目をやると何やらストレージから出し始め、それらをミキサーに入れ始めていた。
入れられた物が気になりミキサーの中身を覗いてみると、毒消し草である『モムの葉』、体力を一時的に回復させる『ルギナの根』、疲労感を一時的に忘れさせる『掌草の蕾』、そして極め付けは『千年樹の実』が見える。
はっきり言ってこれらは金と同等の額で取引されている非常に貴重な植物の部位ばかりである。
特に『千年樹の実』なんかいくらの値段が付くか分からない程の物である。
それらは然るべき方法と手順で処理し、精製し抽出した液体を一般的にポーションや魔力回復液になり、その純度により少量で白金で取り引きされる事もザラである。
また乾燥させて漢方薬にしてもその値段はこれまた高値で取り引きされる。
一番安値で取り引きされる毒消し草である『モムの葉』ですら、一般的な毒消し草『モギの葉』と比べその取り引き額はおよそ数十倍であろう。
同じ毒消し草ではあるのだが、『モムの葉』で作ったり毒消し薬はあのヒュドラの毒ですら治す事が出来、治せない毒は無いとされている。
「みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
「………五月蝿いですね、目障りです」
そして私は見てしまった。立派なマンドラゴラをセラ様がストレージから取り出し、鳴き叫ぶマンドラゴラを「五月蝿い」の一言で消し炭にした瞬間を………。
多分あれ一つで一生遊んでも無くならない金銭が得られていたに違いない。
そして今現在、あれから更に様々な素材をセラ様はミキサーに入れられた後この得体も知れない物体が産み落とされようとしている。
因みにここまで味見などは一切ない。
「最後に隠し味で……っと」
そう言うとセラ様はミキサーを止めて徐にストレージから虫蜜を取り出しどぽどぽと注ぎ出す。最早隠し味としての役割は皆無であろう。
そしてあの虫蜜も多分とんでもなく高価な物である事は間違いない。
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