第181話絶世の美女


 そしてその声の主はミセルが横にずれた事によりその素顔が露わになる。


 そこに居たのはまさに絶世の美女。


 そう思える美姫が二人立っていた。


 周りを見渡すと先程までルシフェルを嘲笑い、騒々しかったギルド内は今では皆この二人に見惚れてしまったのか皆二人を見ながら惚けているのが分かる。


 今まで『自分の見た目は良い方』だと思っていたのだがそれは間違いも甚だしいのだと思ってしまう程の美姫が二人もいるのだ。


 いや、二人という表現には語弊がある。


 目の前の黒髪の娘もあと数年もすれば間違いなく彼女達に匹敵するだろう美しさをその身に宿しているだろうと、女であるが故に気付く。


「わ、分かりました。今回はブラックタイガー討伐依頼を受理します。しかし依頼を失敗または無下にした場合ミセルさんのランクをBに下げさせてもらい更に違約金として金貨五枚貰いますが宜しいですか?」




◇◆◆◇




 とある高級宿屋の一室。


 絢爛豪華な室内に美女を侍らせ男は考えていた。


 今日ギルドに行ったのはたまたまだったのだが思いもよらぬ出会いがあった。


 しかも今まで手に入れた美姫と呼ばれる女性が見劣ってしまう程の女性が三人もである。


 もはやこの出会いは運命であろう。


 何としても手に入れる。


 しかしそこで男は考える。


「なあ、どうやったら良いと思う?」


 男は自分の身体を愛撫する複数の女性に向けて問いかけるのだがその答えは返って来る気配は無い。


 だがそれで良いと男は思う。


 所詮こいつらは餌であり小間使いであり装飾品であるのだ。


 そして徐に男は近くにいた女性の首筋に牙を当て血を啜る。


 その女性は男のお気に入りだったのだがもうそれは過去の事である。


「あ……あぅ……」


 そして女性は小さく痙攣したあとその命を終える。


「あぁ、楽しみだ。初めてだよ。意識を保たせたまま保有したいと思ったのは」


 そして男はこれからあの三人の美姫が手に入る事が当然であるかの如く、注文した商品が届くのを待つかのように彼女達の事を想う。




◇◆◆◇




「しかし依頼を受けて良かったの?」

「別に問題ないでしょう。あるとすればセラ様達の容姿に魅せられ我を忘れ、身の程も忘れた男性達ぐらいでしょうね」

「そう言われれば確かにそうね。魔獣や盗賊みたいな扱いする訳にもいかないしね」

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