第172話下着を嗅ぎに来てたのね!?
あ、危なかった。もう少しで私のはしたない姿を見られる所だった……。
「ふーん………」
「な、何よ?」
「やっぱりたまらない匂いだった?」
「な……何の事かしら………………何処から見てたの?」
「クロさんの下着を手にし深呼吸しながらヤバい目をしだすところから」
ふふふふふふ……終わった……。
あのキンバリーがいやらしい笑顔をしていたのだ。私の思い過ごしだと信じていたのだけれどもやはり見られていたらしい。
私と違い花も恥じらう乙女絶頂期であるキンバリーにはさぞ滑稽に見えた事だろう。
あれ?何故か目から涙が……。
「ふふふ………」
「すー………っ………はー………っ……こ、これは確かにヤバいよね……私も癖になっちゃったわ」
「…………って、何やってるんですか!?返しなさい!」
「いいじゃない。減るもんじゃないし……スーハースーハーすぅーーーーはぁーーーー」
「減ります!減る!減るから!!減るって言ってんでしょうがぁぁぁぁあっ!!」
そしてキンバリーとクロさんの下着の奪い合いが始まるのだが、これで分かった。
「お前もクロさんの下着を嗅ぎに来てたのね!?」
「気付くのが遅いのよ!!おほほほほ。もう日課ですぅー」
「この犬娘が!!離しなさいっ!」
「ターニャこそ離してよこの乳お化け!」
◆
「で………クロの下着を破き破損させてしまったと……?」
「………はい」
「………い、命だけは……」
そしてキンバリーとの奪い合いから約一時間、私とキンバリーは鬼の前で土下座をしていた。
それもそのはず、この鬼もまたつい最近までは私と同じ行き遅れ仲間だったのである。
やっと出来た彼氏のパンツを彼女でもない女性が奪い合った挙句破き引き裂いたのだ。
その怒りも当然である。
穴があったら入りたい……。
耐え難い恥ずかしさと後悔が土下座している私を鬼の怒気が籠っている視線と共に押し潰されそうになる。
「全く、今日はギルドが休みだったからクロのお手伝いに行っていたのですが……クロの汗を拭うタオルなどを忘れ一度宿まで取りに戻ってみれば……」
「スミマセンスミマセンスミマセンスミマセン」
もはや言い逃れ出来ない状況を見られた事を今一度思い出し今以上の恥ずかしさが私を襲い、それを誤魔化すために呪詛のように謝罪の言葉を繰り返す。
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