第136話そういう性癖

「今お前に隷属のスキルをかけた。今からお前に三つ命令を下す。まず一つは俺の情報がお前達にどれほど伝わっているのか教えて貰う。そして二つ目は俺の指示無く戦闘を禁止する。そして三つ目がスキルや魔術を使う際に死なない程度ならば俺に危害を加える事を許す」


 後の命令は本人がそのつもりが無くても設定上危害とみなさられる場合があり、予期せぬダメージを食らう場合が多々ある為であり俺がそういう性癖だからではないと弁明しておこう。


「この俺が隷属されるとは……」


 隷属された本人であるアルは先ほどまでの威勢は消え去り、発する言葉もどこか覇気が無くうわごとのようにも聞こえる程である。


 そしてクロがアルを隷属させる事に成功した為結界は消え去り周囲は元の図書館にもどり図書館独特の時間が静かに流れ出す。


「「「お師匠様ぁぁぁぁぁあっ」」」

「気持ちは分かるが声を謹め。ここは図書館だぞ?」


 結界が消え勝者がクロと分かるとレニア達三人が涙と鼻水を垂らしながら「お師匠様」と駆け寄って来るので一応注意をしてから抱きついて来るレニア達を優しく撫でる。


 しかし、以前闘ったドラニコの方が明らかに強く思えたのだが、周囲よりも強すぎる魔術を使えるアルは魔術の訓練はしたのかもしれないがそれを使った闘いかたを研究する環境が無かったのが今回の敗因なのだろう。


それにより彼はいわゆる脳筋プレイになっていた為クロとしては非常にやりやすかった闘いでもあった。


 そしてクロはレニア達に宿題として今日撮った動画の感想を専用ノートに書いて明日までに提出する様にと告げた後、帰路につく。


 ちなみにその間アルの容姿を他人に悟らせない為にスキル【変幻】を使わせ、クロやレニア達以外からはアルでは無い別の人物に見えるようにさせていた為クロが隷属させている人物が超越者のアルだと気付く者はいなかったのだが、隷属された者は額に隷属の紋様が浮かび上がる為、その紋様を隠す様な事をしない限りは直ぐにバレてしまい、変幻してもその箇所だけは消す事が出来ず、アルだと気付く者はいなくともアルが隷属されている事は隠せずにいた。


 そしてそんなアルの姿を見た者、特に男性はいやらしさと羨ましさを混同させた強い視線を投げかけて来るのでアルが今他人からどの様に見られているか手に取る様に分かってしまう。

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