第135話その恐怖が意味するもの

 その恐怖が意味するもの、それは完全なる敗北を認めてしまっている事。


 頭では否定しても心の奥から滲み出る恐怖は消えず、アルのプライドをズタズタにしていく。


「コレで終わると思うなよっ!スキル【魔力増殖懐炉】火魔術段位七【狐焔の宴】」

「【隷属契約】」


 【魔力増殖懐炉】は30秒間スキルも魔術も使えなくなる変わりに一度だけ魔力を全開にでき、一度だけ魔術を使用出来るが、魔力はゼロになる。


 そして【狐焔の宴】はそもそもの威力も高いのだが【霊魂焼却】で奪った相手の魔力によりその威力が跳ね上がるのだが、その威力は強大でそれに伴い魔術発動まで3秒ほどかかってしまうデメリットもある。




 【魔力増殖懐炉】により魔術である【狐焔の宴】を使い魔力は無くなり3秒間無防備になる。


 【狐焔の宴】は魔術段位七である。彼のいるこの世界では追加効果が無くても詠唱さえすれば勝手に勝利が手に入ったのだろう。


 この世界での3秒とギルティ・ブラッドの世界での3秒とは訳が違う。


「魔力が無くなってしまう上に3秒も発動するのにかかってしまう魔術を使うその意味を後悔して学べ」

「隷属契…約……しまっ!?や、辞めろぉぉぉおっ!!」

「断る」


 そしてクロが放つスキル「隷属契約】を知っているのかアルが無駄な抵抗を見せるのだがそれを無視してクロはアルの背後に回りスキル【隷属契約】を発動させる。


 この【隷属契約】はかけられた相手が魔力を1だけでも注げば効果は発動しないが、発動させる事が出来れば強制的に試合の勝者となり、かけられた相手はアイコンと、額に奴隷を意味するマークが浮かび上がり、様々なデメリットが課せられる。


 課せられるデメリットの内容は『主人にダメージを与える事が出来ない』『特定のスキル、魔術は発動出来ない』『主人から一定の距離を離れる事が出来ない(主人から命令されればその限りではない)』『主人側の命令は絶対である』『命令を無視すれば固定ダメージを与えられ、三回無視すれば体力ゲージが無くなり死亡してしまう』『隷属契約を解除する為には主人自ら解除するか死亡するかの二択である』


 その為ゲームでは基本的に隷属されてしまった場合主人の命令を三回無視する事で死亡して解除するのが定石で、主人側も隷属成功時、強制的に命令を三回しなければならない。中には死亡せずそのまま隷属されつずけるという変わったプレイに走るプレイヤーもいるのだが……。

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