第134話敵に教える馬鹿が何処にいる?
「【霊魂焼却】が霊魂焼却と言われる所以を少しは考えてみたらどうだ?」
「ど、どう言う事だ…?」
「殺し合いだぞ。敵に教える馬鹿が何処にいる?」
この【霊魂焼却】は魔術の属性こそ火の属性魔術なのだが、この魔術を使うにあたり本来必要な火の魔力に加え闇の魔力を使う事により、闇の魔力を【霊魂焼却】に使った分×2の量を当たった相手から魔力をドレイン出来る能力が備わっているのだが、勿論教えてやるつもりは無い。
そしてクロが加えた闇の魔力総量の倍に当たる魔力を吸い切る前にアルの魔力を吸いきったらしく【霊魂焼却】のモーッションが終わる前にアルからの魔力供給が途絶える。
「ぐぅぅぅ……クソがっクソがっクソがっクソがっクソがっ!」
魔力を吸われふらつきながらもストレージからだろうか刀のようなサーベルを二本取り出すとクロへその刃で斬りかかって来る。
しかしその立ち回りはただ闇雲に振り回しているだけでクロでもその拙さが分かるほどであるのだが、いくらクロから見て拙く見えたとしてもクロとて剣術に関しては素人には変わり無くただひたすら避け防ぎ反撃の機会を窺う。
「魔力が無くなって本来の闘い方ができなくなってんだろ?そろそろ諦めたらどうだ?」
「だ、黙れよ!【乱れ突き】」
そしてアルがクロの挑発に乗りスキルを使用してしまう。
このスキル【乱れ突き】は文字通り突き技を七回高速で突くスキルである。
、
スキルの威力は少し高めで、スキル発動までに50フレームほどかかり、撃ち終わりにも30フレームほどの硬直時間が存在する。
そこを見逃さないクロではない。
スキルの撃ち始めに一気に距離を詰めひと突き、撃ち終わりにふた突き、軽くアルの足と腕を突き刺し後退し、また相手がスキルを使うまでただひたすら避ける事に集中する。
深追いはしない。それほどの技術を持っていないと自負している。
「グフ……何で当たらないんだよ……」
「知るか。さて、そろそろ終わりにするか」
あれから数十分、アルの身体は真っ赤に染まりクロには傷一つ付いていなかった。
アルは受けたダメージこそ少ないものの痛みまで消えるわけではなく、クロに攻撃される度にアルの動きが鈍くなっていく。
「お、終わりだと…?」
そしてアルはクロによりこの闘いを終わらすと言われ死を覚悟し、それでも覚悟出来ず恐怖という初めての感情がアルを支配する。
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