第132話己の師の背中を見つめる
ちなみにこの【闘技場】は互いにパーティー機能のチーム編成に登録できる人数が中に入れる人数の上限になっているためお互いに10人、合計20人まで入る事が出来、公平に試合を行えるよう、少ないパーティーの人数に合わせてパーティーメンバーが多い方は闘技場外の観戦者エリアまで人数が同数になるように移動しなければ試合は行われないようになっている。
そしてレニア達は言葉こそ出さないもののその表情からクロの事が心配でたまらないという気持ちが伝わってくる。
「さて、ここで問題だ。俺はお前達の何だ?」
「「「お師匠様です」」」
「正解。その師匠の戦い方を目に焼き付けろ。流派と言えるほど大層な戦い方でもなければ歴史があるわけでもない。だけど今から見せる戦い方が俺が教える大魔王の戦い方だ」
そう言うとクロはレニア達の頭を軽く叩き、撫でるとアルのいる闘技と化した図書館その中心まで歩き出す。
それでも相手が超越者で尚且つ九尾の狐の亜人種という事でレニア達はやはり不安そうな表情をしているのだがそこに強い意志を宿し、己の師の背中を見つめる。
そう、自分達の師匠はあのアーシェ・ヘルミオネに勝った大魔王なのだと。
「死ぬ前の別れの挨拶は済んだか少年」
「その必要は無い」
「口だけは達者…と。肉体年齢はどう見ても17、8のそれ。アーシェのようにいく百年の重みも感じられない。ただ精神年齢が高いだけ。だから目の前の危機にも気付けない」
そう言うとアルの身体が更に変化し、三本だった尻尾が九本に増える。
「この身体は久しぶりだ。本来の姿というのは実に心地いいな。この姿になれる機会をくれた事だけは感謝しよう。いいか少年、世界の殆どの魔族や人間はこの世界で一番強いのは誰だと聞けば皆口を揃えて魔王アーシェ・ヘルミオネと答えるだろう。もしかしたら今じゃお前の名前を上げるのかもしれない。しかし裏の世界を知る人間は神成者の中の誰れかを上げるだろう。そして超越者とはその頂きに最も近い者達の事を言う」
「俺の故郷にこういう諺がある。『弱い者ほど良く吠える』どうやら本当だったみたいだな」
「このっ糞ガキがぁっ!」
本来の姿になって気分良くしたのか饒舌になるアルなのだが興味のない御託は聞く気にもなれないので軽く挑発して見たのだが、想像以上に効果的面だったらしく顔を真っ赤にしてクロに魔術を無詠唱で撃ち込んで来る。
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