第125話家宝決定ですわね

「とりあえずこれをお前達にやるから扱いに慣れておくように。それが今日の練習内容だ」

「こ、こんな高そうなアイテムを…」

「か、鏡みたいです…」

「か、家宝決定ですわね」

「………」


 一人俺の好意を紳士に受け止められず、疑心に満ちた目で俺を見つめながら未だにタブレットが安全な物だと信用できず得体の知れない恐怖に震えてる奴もいるが、早速写真のやり方を聞いてきたり、動画なども教えてやると俺を早速写真や動画で撮ったりと彼女達の眠気を吹き飛ばすくらいには好評みたいである。


 とりあえず基本的な使い方と万が一落としたり盗まれたりした時の事を考えセキュリティーのやり方などを教え練習という名のブレットの操作説明会で今日一日が終わった。


◇◆◆◇


 弟子達三人の授業も終わり彼女達を家まで無事に送った後、クロはギルドから依頼を受け、学園都市の外にある森まで足を運んでいた。


 彼女達を指導するにあたり外部講師は授業料が発生しないという事なので日々暮らす為に必要なお金を稼がなければならない。


 これがゲームの世界なのなら面倒くさいと思いつつも、現実のお金は一銭も稼げないと知りつつも金策に励むのだろうが、コレが実際使えるリアルマネーに変わる作業『仕事』に変わってしまうと働きたくないという気持ちが強くなってしまうので不思議である。


「これから日が落ちて危ないからサラは先に宿で待てってもらいたいのだが?」

「と言いつつよからぬ事をしないとも限らないですからちゃんと見張ってます。今日と明日は仕事も休みですし、こんな人里近く現れる魔獣や野生動物などに遅れを取る事は無いですから余裕を持って貴方を見張れますのでお気遣いなく」

「俺がお前を襲わないとも限らないのだが?」

「そ、そそそっ、そんな脅しに屈する私ではないですっ!」

「そうビビるな。嘘だから」

「び、ビビってなど……もうっ」


 サラの反応がいちいち可愛いのでからかうのだが目が今にもなきそうになってきたので軽くサラの頭を撫でながら嘘である事を思って告げるとあからさまに安心した顔になり、からかわれた事に気付くと顔を真っ赤にしながらクロを睨み付ける。


 しかし、その一連の反応見たいが為にちょっかいを出したくなるのだが、その事をサラに教えるつもりは無い。


 教えたばっかりに反応が鈍くなるのは得策ではないしな。

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