第121話モヤモヤばかりが残る
その後、何回か対戦してみたのだが、過程は違えど結果は同じような結果になってしまっていた。
ユーコの糸でレニアの足が取られ…etc、エリシアユーコの糸を尻尾で全て絡みっとってしまい、それに気付かず…etc、といった様な展開を様々なバリエーションで見せて来る。
そのバリエーションの多さに一周回って逆に凄いと思えて来そうである。
「さ、流石はお師匠様。完敗です」
「しかもその全てを一歩も動かずに勝ってしまわれるなんて」
「わたくしが糸を触れさす事も出来ないなんて…」
息も絶えだえになりながらもクロに賞賛の声をかける自分の生徒達を見て半年間講師がつかなかった事と、彼女達を勝たせるようにしなくてはいけないという難易度に気付かされ頭を抱えたくなるのであった。
◇◆◇
お師匠様と実戦型の講義が終わり、レニアはその後アルバイトを軽くこなした後帰路についていた。
ちなみに今日のお客さんはサラであり、行き先はクロが泊まっているという宿泊施設、『鍵尻尾亭』である。名前の由来は店主の娘が鍵尻尾だからという、娘を溺愛してそうな、と言うか間違いなく溺愛しており娘の年齢はもう17とそろそろ結婚しないと行き遅れと言われ始める年齢に差し掛かって来ているのだが店主である親父さんが未だに近寄る男達に眼を光らせている事で有名な店である。
お師匠様とサラさんは仲が良過ぎるとレニアは思う。
アレで本人達は恋人ではないと言いているのだが、恋人同士でなければ同じ宿泊施設に泊まるわけがない。
やはり二人は恋人同士なのだろうか?
そう思うと何故か胸の辺りが締め付けられる様な感覚になり苦しくなる。
二人ともレニアにとって大事な人なので二人の事を思ってこんな感情になってしまう事にその答えを出せないでモヤモヤばかりが残る。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「お疲れ様ですわ」
に帰ると聞きなれた声が迎えてくれ、このモヤモヤも多少消えてくれるのだが、鍵尻尾亭に入っていった二人の事が頭から離れず、またモヤモヤがレニアを満たす。
「どうしたのレニア?浮かない顔して」
「そうですわよ。何か嫌なことがあったのですの?わたくし達が聞いてあげるから話してみなさいな」
そう言って私の事を心配してくれている二人なら、このモヤモヤの正体は分からずとも気分は晴れるのではないのか?
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