第120話流石はお師匠様ですっ!
エリシアは同じく長いハルバートを使い、レニアの様に筋力に物を言わす使い方ではなく遠心力を上手く利用した円の動きで穂先の斬撃と持ち手側の先端部に取り付けられた鉄製の鏃での突き技を組み合わせ、更に蛇の身体を利用した移動法は思った以上に予測しずらく、更にその死角から尻尾のアーマーによる突き技と薙ぎ払い技を繰り出してくる。
ユーコは糸を自分の魔力で生み出せるというアラクネ特有の技を使い、その糸を繰り出して攻撃して来る。ユーコが作る糸には二種あり、粘着性のあるが強度が低い糸、粘着性は無いが強度が高い糸、その二種の糸を使って相手の動きを阻害し、糸に着いた毒により相手を痺れさせ、縛りあげる…という様にレニアがパワー、エリシアがテクニック、ユーコがサポートとなっており、上手く噛み合えばなかなかの強さを発揮すると思えるのだが……。
「私たちもそう思っていたのですが結果は惨敗の惨敗でして……」
レニアもクロと同じ考えなのか全体会で自分たちの実力を発揮できなかった不甲斐なさを思い出してか悔しげに話す。
「とりあえず見ない事には何処が悪いか指摘も出来ないから一度三人で俺に挑んできてくれ」
「わ、分かりました」
「お願いします」
「わたくし達の力、お見せしますわっ!」
三者三様に返事を返してクロから少し離れた所で構える。
この半年間ただ講師を探していただけでは無く三人で練習もしていたらしく、その構えは堂に入っている。
「行きますっ!」
「続きますっ!」
「援護は任せなさいっ!」
始めに動いたのはレニア、それに続きエリシアが特攻を仕掛け、後方からユーコが強度が高い糸を飛ばして来る。
その動きは何度も練習したのか迷いが見えず、最初に攻撃を仕掛けたレニアのランスがクロを穿つかと思われた瞬間、クロの足を狙ったエリシアの尻尾による足払いに当たりバランスを崩すと、レニアはエリシアの方に倒れ、そのまま二人はユーコが撒いた糸に絡まり身動きが取れなくなるも、レニアの筋力で無理やり糸を引っ張り、その影響でユーコが引っ張られるとそのままレニアとエリシアまで飛ばされ「ぐしゃっ」という音が響き、クロはすかさず回復魔術をかけてやる。
「さ、流石はお師匠様ですっ!まるで攻撃が見えませんでした!」
「何をされたか全く分からなかったですっ!」
「私の糸を逆に利用するとは、お見事ですわ」
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