第117話赤くしながらそっぽ向く
今二人が向かう場所は学園内の訓練施設で、レニア曰く無料で貸し出し出来るのが学園内の訓練施設だけらしく設備はしっかりしているものの、ギルドが有料で貸し出している訓練施設と唯一違う点は、貸し切りでの使用か、共同での使用かぐらいしか違いは無いらしい。
また、薄々そうじゃないかと思っていたのだが、俺の生徒はレニアだけでなくレニアの他に昨日会ったユーコとエリシアの三名だという事である。
まあ、一人が三人になろうが教えられる事は限られているので然程変わらないだろう……と思いたい。
「こちらこそよろしく。君たちの外部講師になったクロ・フリートだ。はっきり言って戦闘技術だけで見れば君達に劣るかも知れないのであまり期待はしないでくれよ?」
そしてクロもそんな視線を無視して軽く自己紹介を済ますが、レニアがさらに補足情報を目を輝かせながら語り出す。
「お師匠様は適性テストでの試合で相手の方を魔術、戦闘技術そのどちらも一瞬で倒してしまったんですよ!」
「ほ、本当ですか!?レニアっ!」
「それでこそわたくしのお師匠様相応しいですわ!」
「いやいやたまたまだって。それに装備の性能の差もあったと思うし、一概に俺が強いから勝てたというものでもないからな?」
確かに装備は大人気ないと思えるほどの差があったのだが、それでも戦った相手がまさかアンナの側近の護衛でギルドランクが両方ともSSだという事にクロは気付いていないのだが。
「優れた装備を使いこなすのも力量の一つですわ。それだけお師匠様が熟練の域に達してる証拠ですのよ?」
「そういって貰えるとは思わなかったな。有難う」
「べ、別に感謝されるような事は言ってなくってよ?」
はっきり言って戦闘技術に関してはスキルや装備に頼りきりなので自分自身では未熟な部分の一つだと思っているだけにユーコの言葉は素直に嬉しく、自然と感謝の言葉が出るのだが、まさか感謝されるとは思っていなかったのかユーコは顔を赤くしながらそっぽ向く。
「お、お師匠様!私もユーコと同じ事を思ってましたっ!」
「わ、私もです!」
「うん。有難うな」
ユーコに続きレニアエリシアも目を輝かせながら言ってくる。
まだ会って間も無い、そんな彼女達に向けられる下卑た視線に対して「いつか彼女達に違った視線を向けさせたい」と思ってしまう俺は何処までも甘いのかもしれない。
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