第116話親友の娘は私の娘
「そういう顔されても俺は動かないぞ?」
アンナが顔で「貴方なら潰して下さる?」と言ってくるので丁重にて断っておく。だがまぁ、もしおれの娘がサラと同じ状況だった場合、それを潰せる力があるのならその限りではないのかもしれない。勿論死ぬ事だって厭わないわけで。
「あら、残念ね。たしか…触らぬ神に……なんだったかしら?アーシェ」
「祟りなしよアンナ。どんなに強力な魔術を使えても私一人で守れる人の数は限られているの。それは勿論貴方の娘も入っているから安心して。でも、その限られた人以外の中にも大切な人はいるの。下手に刺激してその人達を失うような事にしたくないのよ」
「いいのよ、アーシェ。分かってるから。あと、貴方の庇護の下に私の、娘も入れてくれて有難う」
「当たり前じゃない!親友の娘は私の娘であるのよ?」
そう言うと二人感極まったのか抱き付き合い、その目は潤んでいた。
ちなみレニアはというと、妄想から未だ帰って来ず「今日は貴方の好きなシチューを作るので早く帰ってきて下さいね」とつぶやいていた。
◇◆◆◇
そんなこんなで時間はかかったものの何とかこの学園の外部講師なれた訳だが、次いでにこの世界の闇に片足を突っ込まされた気分になる。
あの理事長は俺をこの世界の闇に片足を突っ込ませるのが目的でアーシェを呼び寄せたのだとすれば何だか腑に落ちないのだが出来た娘の為に裏で苦労するその姿には好感が持てた。
場所が変われど母は強いのだろう。
「お師匠様、学園内の訓練施設まで案内しますので付いてきて下さい!あ、二人にはギルドカードで連絡しときました!」
「ああ、有難う」
そう言いレニアの頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めるレニア。
そうこうしているうちに観客席が無い野球球場のような野外施設が見えて来る。どうやらあれが訓練施設なのだろう。
「お、お待ちしておりましたお師匠様。改めまして、わたくしユーコ・ラインハートですわ。ユーコとお呼び下さいませ」
「よ、宜しくお願いしますっ!わっ、私はエリシア・マルメティアです!エリシアと呼んでください!」
訓練所に着くと入り口には既にユーコとエリシアの二人が到着しており、クロを見付けると駆け寄ってきて挨拶しだす。
そして、やはりというか何というか、周りから見下した視線を向けられるのだが、レニア同様にユーコとエリシアは気に留めて無いようである。
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