第102話あの大魔王

 ユーコとエリシアはレニアの姿を見るやいなや駆け寄り安否の確認をし、サラは恐怖で腰が抜けかけているのかへっぴり腰になりながらもクロからレニア、ユーコ、エリシアを守る為に三人を守るように前に出て震える身体でクロと対峙する。その姿は恐怖で萎縮しているとはいえ隙はなく、恐らく彼女が全力を出せば今のクロには荷が重い相手であろう事が伺える。


 一方のレニアは約半年間にわたる指導してくれる講師を見付けるという悩みから解放しているのか清々しい顔をしており、ユーコとエリシアにクロが強姦魔ではなく自分たちの外部講師なのだと告げる。


「え……れ、レニア、今なんとおっしゃいましたの?このとの殿方が私達の講師になってくれたのだと聞こえたのですけれど?」

「強姦魔じゃなくて……講師?」

「はい!一応外部講師という立ち位置になりますが、見たこともないスキルで盗人を簡単にあしらった所を目撃したので多分強いです!これで勝てます!」


 そしてレニアの言葉を徐々に理解し始めたユーコとエリシアは自分たちに講師が付いた喜びをレニアと一緒に三人手を取り「お手柄ですわレニア!」「さすがレニア!」「今年こそは勝ちましょう!」などと嬉しさを現す。


「ま、待ちなさいあなた達!あの方が誰だか分かっているのですかっ!?あの大魔王ですよ!!」

「だ、大魔王……お師匠様が?」

「えーと、大魔王ってあの大魔王ですわよね?」

「魔王だったアーシェ・ヘルミオネを倒したっていう……」


 そんな三人を見てサラはクロの正体を告げるのだがその三人の反応はサラが思っていたものよりも薄く感じ、むしろそれを望んでいるかのように伺える。


「そうです!ギルドで確認したので間違いなくあの大魔王です!」


 サラはそんな三人に事の重大性を解らせる為、大魔王の部分を強調して伝えるのだが件の三人はギルドからの情報という極めて信頼度の高い結果を聞くのだが彼女達はサラのように恐怖にそまる事も怯えるような事も見られない。

「わ、私達のお師匠様が大魔王……」

「世界で一番強い講師……という事ですわね!」

「れ、レニア……おお手柄です!」


 そしてクロが大魔王だという事を理解すると三人は顔をほころばせ喜び始める。


「な、何で嬉しそうなんですかっ、あなた達はっ!?魔族の王なのですよ!?」

 魔族の王であるクロが怖くないのか?と三人に問いかけるサラ。

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