第103話もちろんですはい!
しかしレニア達三人は怖がるどころかその事を嬉々として受け入れているみたいである。
「ですが、サラさんが言うように本当に悪い人なら私達はお師匠様と会った瞬間に殺されるか犯されるかしてるかと思うのです」
「だ、男性は怖いのですがレニアが選んだ人ですから……」
「口だけで弱い方よりマシですわっ!」
そんな三人の反応を見た上でもサラは納得いかないのかクロへの警戒心を緩めないでいるようだが、たまにクロと目が合うと「ヒッ」と小さく悲鳴をあげ、目線をずらし、顔から脂汗がにじみ出ていた。
「で、結局俺はどうなるんだ?」
「だ、だ、大魔王を講師登録する事は……で、できっ、できっ……」
「まさか出来ないわけないよな?」
「できますっ!もちろんですはい!」
できないと言いかけたサラなのだがクロによる威圧感に負けて思わずできると言ってしまい今にも泣きそうな顔になっている。
そもそもクロの配下である家臣達がギルドで冒険者登録出来た一番の要因は、クロ達の動向をギルドカードを通して把握できるからであり、今回の学園都市の講師登録の際にクロないしクロの家臣達が登録できないようにする為でもある。
勿論破れば懲戒免職だけでは済まされない。
そしてサラが異様なまでにクロを恐れる理由の一つに、一度だけアーシェ・ヘルミオネと戦った事がある事と、クロとアーシェの闘いを映像転写石を使い見ているという事が関係していた。
その二つの理由からサラの目に映るクロは、あのアーシェを″本気にさせた″上で簡単にあしらった化け物として映ていた。
映像転写石に映されていた戦いから今のクロが同一人物だという事をあの映像を観たはずのギルド職員の中に同一人物だと分かる職員はまずいないだろう。
確かに角も羽も今のクロには無い上に映像転写石の映像は粗く、クロの顔を鮮明に映し出せていなかったのだが、何より今のクロからあれほどの戦いがこなせるだけの技量があるとは伺えないどころかただの優男に見えしまうだろう。
そう思わせてしまうほどあの映像に映し出された光景、恐らく人前で見せるのは初めてであろうアーシェの本気と、そのアーシェに本気を出させた上で初めて彼女に土を付けさせたクロとの戦いはそれだけ規格外すぎたとも言えるのだが。
そのためサラさえ黙っていればクロがあの大魔王だという事はまずバレないだろう。
しかし人サラはそれを良しとしない。
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