第95話私たちのグループは去年最下位
そのご普通にやり取りし始め取り付く島も無いといった風な態度のギルド受付嬢にか興味が失せたのか黒づくめの男性講師はカウンター奥まで行き別のギルド受付嬢に「空きの訓練場はあるか?」と聞いていたのが聞こえて来たので周りにいた他の冒険者達からははりつめた空気が弛緩し、安心したような残念でもあるような空気が漂いだす。
「そうですね、学園関係者になるには講師になるしか方法はなく、大会が終わる時期でしたら実力があると判断された方はそのまま講師になられたり、溢れた生徒達も多数居ますから生徒を選ぶ事もできますが、大会が半年後に迫ったこの時期に未だに講師が決まらない生徒がいるだけでも奇跡なんですよ?」
そのあともう少し詳しく説明してくれるのだが、学園関係者になる方法が大まかに分けると教師、技術講師、生徒の三種類しかない事に驚きである。
「えっと、それだけ生徒の数も教師、講師の数も多く、その為その中で優劣を付けれる唯一の表立った学園公式な大会行事の結果で良い成績を残せれば富と名誉を指導側とその生徒は得ることができます」
俺のその疑問に気づいたのかどうかは分からないのだがホウスレニアが補足してくれる。
「そして私たちのグループは去年最下位、それもダントツでしたので…」
それであのからかわれようなのであろう。
しかし、彼女が去年最下位であろうがなかろうが俺からすれば学園関係者になれればいいだけなので、ここは彼女の講師になるのが得策なのかもしれない。大会で不名誉な結果になった場合世間の評価も落ち、富と名声を得るどころか次の大会の生徒すら弟子として来なくなるらしいのだが、俺には関係ない。
無償でというのはちょっと腑に落ちないのだが郷に行っては郷に従えである。
駄々をこねてもしかたないし、対価として情報を貰うと考えれば良いか。
「なるほど…じゃあ君の講師になろう」
「…ほ、本当ですかっ!?」
「よ、良かったですねホウスレニアさん!半年間粘った甲斐がありましたよ!」
俺の言葉でお互いに抱き合うギルド受付嬢とホウスレニア。後から聞いた話なのだが講師が決まらないと大会に参加できないらしく、この喜びようと今までのホウスレニアの必死さにも納得である。
「で、では早速外部講師登録手続きをしますのでギルドカードを提示してください」
「あ、あぁ………」
「では預かりま……どうしました?手を離してもらいませんと登録手続きできませんが?まさか、今更になって心変わりしたとか言いませんよね」
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