第61話立派なヤンデレヒロインに成長してくれやがった

 闇金といえど時代の波に飲まれ、今では多額のお金を貸してくれる所は少ないのだろう。あらゆる金融会社から借金した時の苦労をまるで何かの武勇伝かのように語りはじめたアーシェなのだが、これで確信できた。


 アーシェは立派なヤンデレヒロインに成長してくれやがったみたいである。俺の、実の妹のように与えた愛が悪かったのか、実の兄や両親の愛情や育て方が悪かったのか、環境が悪かったのか、またはそれら全てが悪かったのか分からない。


 ただ間違いなくアーシェが立派なヤンデレに育っている事は、アーシェの前世の兄ほどではないが学生時代の俺の暗黒期(三度の飯がエロゲー)に得たバイブル(聖書)がアーシェはヤンデレであるというジャッジを下しているのである。


「それでお兄ちゃん覚えてる? ギルティー・ブラッドの大会決勝前に交わした約束?あれを今もう一度やりたいんだけど?」


 そう言うとアーシェは獰猛な笑みを浮かべる。


「や、約束てなんのだよ?」


 クロは嫌な汗を背中に滝のようにかいていた。


 なぜなら、まだ迅速の床ペロさんが明日香だとわからなっかた俺は魔王の称号をかけた大会で一つの約束をしているのである。


 それは迅速の床ペロさんからの提案で、次に互いに戦うような状況になった場合「私が勝ったら鍵部屋でイチャイチャしてください」というものである。


 迅速の床ペロさんが女プレイヤーである事は知っていたし、彼女の作り出している魔族キャラクターがクロのタイプの女性像を具現化しているのも大きく、八割下心込で了承した約束である。


 ちなみち鍵部屋とはその名のとおり鍵をかけれる部屋のことで、ここで夜な夜ないやらけしからん事をするプレイヤーのラブホ的な場所として使われており、他のプレーヤーからの認識も鍵部屋=ラブホという認識をされていた。


 もちろん通常の利用目的で使う場合も多いのだが、男女のどちらかがその鍵部屋に二人きりになろうと誘うことはそう言う意味で使われる事がほとんどである。


 もちろん言ってもゲームなので本番はできないし触れられた感覚はないのだが、ゲーム追加装備手袋を装着すると、触った感覚を手に伝える事ができるため人目を気にせず互いに互いを触り合えるのである。


 あと何故か触られているかのような演技も自分含めて皆するのだがなかなかの演技力で一時期ハマっていた時期もあったのだが……まさかその中に嫁が紛れ込んでいたとは。




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