第35話次は私ですよね?

 顔を赤らめ恥じらいつつも俺のワイシャツを着るメアの姿を見るとズキリと俺の胸を痛みが走り俺は最低な男だと思い知らされる。


 俺はこの少女に妻子がいるのを隠し自らの欲望だけで手を出そうとしたのだ。


「あのだな…クロ。わ、私はお前の事が…す…す………凄いと思うぞ! 見た目に似合わず強い所とかな!」

「お、おう」


 小さな声で「はは、何を言ってるんだ私の意気地なしと」と聞こえてくる。どうやら後戻りができない所まで来ているのだと知り頭を抱えたくなった。


そして胸に宿る小さな蕾をなんの蕾か気づかないフリをして偽善というハサミで切り取る。



 ミヤコ婆さんが作ってくれた朝食を取りながら今日の活動について話し合う。


 ドラニコに決闘で負けた俺は金貨五枚の借金があるのに加え、そろそろ脱マス○さんしたいのでマイホーム購入資金調達しなければならない。


 ムヌー一体の平均報酬が金貨二十枚なのでこれで借金は払えるのだがマイホームにはまだまだ遠い。


 そんなこんなで今日はノクタスの森で魔獣討伐するつもりである。


 一応この集落にも小さいながらギルドがあり、討伐リストに載っている魔獣を討伐すればそれに見合った金貨引換券がもらえ、街中にあるギルドまで行くとたいていの場合換金所があり金貨に変えてくれる。


 ミイア曰く町外れの集落などに金貨の総数が少なく、せっかく討伐したのに報酬がもらえないなんていう事が起きないようにする処置なんだそうだ。


 そしてメアはというとたまに会話には入って来るものの基本俺の方を向いて熱がこもった視線を向けてくる。


 さらにいつもよりも気持ち俺寄りになっているメアと若干メアを意識してしまっている俺にミイアが気づいているのか、凄く聞きたそうにしていたらメアが吐いた。それも嬉しそうに。


 その途端ミイアが「次は私ですよね?」と迫ってくるのであた。



◇◆メア視点◆◇



 ノクタスの森の中、まるで眠っているかのように彼は倒れていた。


 私も初めは眠っているものだと思っていたのだが、この森では魔獣などがたまに出没するため眠っているところ悪いのだが起こそうと声をかけるも一向に反応がないため彼が気絶している事に気付いたぐらいだ。


 目覚めた彼はクロ・フリートと名乗り、男なのに体力は無く少し歩いただけで弱音を吐くような男性だった。


 こんな弱そうな男性は好みではないし、見た目も彼は中性的でこれまた好みではない。


 ミイア辺りが好みそうな異性だなと思うも弱いんじゃミイアの長年の悩みも解消しないだろう。


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