第31話私の婚約者
翌日、朝起きると当然のようにミイアが俺のテントへ入ってきていた。
狭いテントの中発情したメスの匂いを充満させ、クロに絡みつき比較的小さめなミイアの胸の柔らかさがわかるほど絡みつかれていた。
いくら未成年は守備範囲外だとしてもご無沙汰なおじさんの鉄壁のディフェンスも今回ばかりは危なかった。
ミイアがクロのテントで寝てた事をメアは知っていたらしく、「出遅れた…」とクロに聞こえない声で呟き悔しがっていた。
二日目はムヌー狩りはせずここから近くにミイアの生まれ故郷の集落があるというので向かうことにするのだがメアの『少し』が少しではないことにあとになって気づくのであった。
◇◆◆◇
ミイアの生まれ故郷についたのは夕方の四時ぐらいで、朝から軽食と小休止はしたもののほぼ半日中歩きどうしだったクロはヘトヘトである。
ギルドに勤めていたミイアは下に二人の妹がおり、仕送りをするために月一回はこの集落に通っていたらしく、今回も仕送りがメインだとのこと。
上に姉がいるのだがとっくに嫁ぎ、遠くの街へ嫁いでいったみたいだ。
両親が死んでいるためミイアの妹たちは祖母が見ているらしく、一行はミイアの祖母がいる家に向かう。
「おばあちゃんただいま」
「おねーちゃんお帰りなさい!」
「なさいっ!」
ミイアの祖母の家に訪れるとミイアの妹達がドタドタと走って出迎えに来てくれる。ミイアの話だと十歳と四歳らしい。
二人ともやはりミイアと同じく猫耳があり可愛らしいしっぽが嬉しさを表すようにピンと立っている。
しかし俺を見るとさっきまでのアットホームな出迎えの空気が一変し、二人から警戒心が溢れはじめる。
「おじゃまします」
そんな彼女達の警戒心を刺激しないように優しく挨拶する。
メアは何回も訪れているのか警戒されるどころか一番下の黒い耳を持つミイアの妹に抱き付かれそのまま抱っこをしていた。
しかしこちらを見る小さな視線からは警戒心は消えてくれないみたいで、それを見かねたミイアが妹達に挨拶するように促す。
「二人とも挨拶は?」
「今晩は」
「ばんわ」
その人見知りしている表情も可愛いのでほっこり和んでしまう。このままだとケモナーレベルがまた一つ上がってしまいそうである。
「…あら、見ない顔だねえ」
ミイアの妹達に遅れて数秒、家の奥から小柄な女性程の大きな三毛猫がのそりと歩み寄るとクロに近づき「スン」と一度匂いを嗅ぐとミイアに目線でクロの紹介を促す。
「私の婚約者になってもらったクロ・フリートさんよ。おばあちゃん」
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