【挿絵あり】●魔王のジョブを持っているVRMMOのアバターで異世界へ転移してしまった件
Crosis@デレバレ三巻発売中
第1話転落
人生なんて何がきっかけで転落するか分からない。
かくいう俺滝沢祐介もまたその一人であり、とある理由で借金地獄になり嫁子供を闇金の手から助ける為に離婚、誰も知らない土地へ逃がし、今俺は身内に迷惑をかけない為に自分の生命保険を最後の希望として自殺する寸前である。
今思えば酒タバコギャンブルをせず真面目に働き趣味と言えば家族の為にと仕事をすることと、約15年続けたVRMMO『ギルティブラッド』ぐらいである。
そして彼は目を閉じると10階建てのビルの上から飛び降り35年間の人生に幕を下ろそうとしていた。
………
………
「大丈夫なのか?」
確かに飛び降りたはずなのに安否の確認をする声が聞こえてくる。
しっくたか?
即座に自殺失敗かという事が頭をよぎり、とてつもない疲労感が俺を襲う。
「残念ながら……大丈夫みたいだ」
本当に残念だ。一度人生転落すると落ちる所まで落ちるというが、ここまでついてないもんなのかね……。
いつまでも倒れてる訳もいかずとりあえず起き上がろうとして見渡した景色に軽く混乱してしまう。
「……どこだ………ここは?」
目を開けば落ちたはずのビル群ではなく新緑が美しい森の中だった。
確かに俺はビルの上から落ちたはずで、落下地点はそもそもコンクリートだ。
もし仮に落下した衝撃で気絶したとして、わざわざ森がある場所まで運ぶ理由がない。ヤミ金の人間なら尚更助けるよりそのまま死んでくれたほうが保険金など入ってくるのでまず生かす事はないだろう。
「どこって、ここはノクタスの森だが…?」
そんな事を考えていると目の前にいる少女が答えてくれるのだがノクタスと言われても分かるはずもなく疑問ばかりが増える。
しかも少女が着ている服は中世ヨーロッパに出てきそうな麻でできたワンピース、髪は腰まで伸びた赤毛のロングヘアーで眼は透き通るようなブルーのくりっとした二重、なのに顔立ちはアジア系の美少女なのだが、…………西洋とアジアが混ざったハーフとはまた違う顔立ちに違和感を覚える。コスプレした日本人の美少女と言えばしっくりくる顔立ちだ。
「そんな事よりお兄さん、コウモリみたいな羽と山羊みたいな角が生えてるけど何の獣人? ここはまだ田舎の方だからあれだけど、都市に行くと獣人差別酷いから気を付けたほうがいいよ?」
「は? 角? 羽?」
はっきり言って自分が現在おちいった現状の推測なんかどうでも良くなった。
何故なら確かにコウモリみたいな羽と山羊みたいな角が身体に付いているからである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます