第20話 五人とひとりと聖なる夜 3章

 それで、とひと言、比企は事務的な意匠のデスクを挟んで向かい合う男に一切視線を投げず、白湯を啜って大欠伸をぶっこいた。

 場所は警察の取り調べ室。俺達五人は桜木さんと一緒に、隣の小部屋で比企と男とのやりとりを、マジックミラー越しに見ているところだ。本当なら、そもそも俺達がこんなところに入れるわけがないのだけど、成り行き上が半分、比企が同行を求めたのが半分で、こうして暗い部屋の中で、取調べの様子をじっと窺っているという次第だ。

 比企と向かい合っているこの男は、昨日の強盗一味の一人、黄色いウィッグのピエロマスクをつけていたあいつだ。三人の中では格下だったのか、紫髪とオレンジ髪の二人は、こいつを置いてさっさと逃げてしまったのだという。オレンジ髪がトイレに行きたいと申し出、移動中に監視役の巡査を振り切り逃走。さらにその混乱に乗じて、紫髪も監視に当身を食らわせて逃げ出した。警察署内は蜂の巣を突いたような大騒ぎで、お陰で俺達を立ち会わせるという比企の横車は、思ったよりあっさりと押し通せてしまった。それどころじゃなかったのだ。

 ピエロマスクを剥がれた男は、まさやん相手に軽口を叩いていたときに、もしやと思った通り、二十歳をどうにか過ぎたくらいの年恰好だった。顔立ちは至って凡庸。このまま人混みに紛れ込まれたら、まず俺には見つけられない。ただ、べったりと濃い隈とは裏腹に唯一キラキラと夢見るように輝く目は、言い方を変えれば狂信とも取れて、それだけが見る者に強い印象を与えた。

 無言。

 比企は白湯を啜り、比企と男、それから二人を左右に見られる位置に腰掛ける刑事さん、この三人の顔をクローズアップする豆カメラが真ん中に設置されたテーブルに、お行儀悪く軍用ブーツをはいた足を乗せ、まるっきり興味がないと言わんばかりの声で、置いていかれたな、とだけ言った。

「何だよ。何も訊かねえのかよ」

 上目遣いで比企を窺いながら、用心深く男が訊ねると、いやだってカメラあるから、と比企は廊下へ出る扉脇の、ポットを置いたサイドテーブルへ立って、おかわりを汲んで戻った。

「私の得意なお話は、監視カメラで撮った録画データをむこう五〇年間保存するような、お上品な取調室には不向きなもんでな」

「あんた確か、昨日のデコピン女だろ」

 そんなガキみたいななりじゃ、刑事じゃねえなとアタリをつけて、まあ誰でもいいけど、と男は頬杖をついた。

「何を訊いたって無駄だ。俺はしゃべらないからな。そういう訓練だって受けてる」

 そうかい、と比企はあからさまにやる気のない声で受け流すと、誰も強引にしゃべらせたりしないから安心しろ、とまた大欠伸。

「強引に吐かせた情報は嘘が多い。手前の身かわいさで並べ立てた三百代言に用はないし、お前が何者なのかなんて、見ればおおよそのことはわかる」

 黙って座っていた刑事さんが、え、と小さく声をあげた。

 しっかりしてくださいと比企がため息をつく。

「彼らの持っていた装備。他のものはメーカーも発売時期もバラバラなのに、あの登山用デイパックはゲッコー・マウンテン社の最新モデルで、靴もやっぱりゲッコーのトレッキングシューズ。そして、彼自身が肥後君に語った『組織』云々という話と、プロとまではいかないが、それなりに訓練を受けていたと思しき行動パターンや爆弾設置の技術。自分達が何者なのかと問われると、この星を愛しているとか答えたこと。これらを総合するに、導き出される正体は一つ」

 これですよ、と比企はテーブル上に埋め込みで設置されているコンソールで、取調室の壁一面にスクリーンを表示、ネットワークに繋いだ。

 壁いっぱいに映し出されたのは、この数年で過激な活動が増え、最近では半ば宗教じみたところが目立ち始めた、狂信的な環境保護団体のオフィシャルサイトだった。団体の名前は、そらの箱舟といった。

「最近でこそ大っぴらには語らないが、ゲッコー社の二代目社長は、登山用品やキャンプ用品を扱う商売柄、就任以前の学生時代から自然保護活動に関心が高く、この団体設立初期の頃には、かなりまとまった額の寄付を定期的に行なっていた。税金対策もあったのでしょうが、それなら普段から気になっている環境保護活動に、熱心に取り組んでいる団体に寄付して有益に遣ってもらいたい。そのつもりで寄付するとなれば、多少なり団体について調べもするでしょうからね、賛同できると思えば、金だけではない支援もするでしょう」

「…いまだにゲッコーの支援があると? あそこの社長は確か、ここ三年ばかりは宙の箱舟とは距離を取っていますよ。活動が過激だってんで、代表に苦言を呈したなんて話もある」

 縁切りは表向きですよ、と比企はあっさり否定した。

 スクリーンを二つに割って、空けたもう半分に地方の大学のサークルのサイトを開く。活動紹介トピックの中から、今年の春先に行ったという、地滑りで裸になった山の植林プロジェクトの記事を開いた。

「この記事、苗木を買い、地元の林野庁や業者との橋渡しをしたのが、ゲッコー社の社長だとあります。ああ、ご丁寧に写真まで貼っている。ほらこれですよ」

「はあ」

 刑事さんが、だからなんだと言いたそうな顔で、それでも相手は小娘ながら自分より職権が高いので、とりあえず我慢しいしい相槌を打つ。そんなことはまるっとお見通しな比企は、ここからが愉快な話で、と、環境保護団体のサイトを表示したままの片割れに戻り、青年部メンバーの氏名と顔写真の載った一覧を開いた。中部地区のリストに出ていた四人は、なんとさっきの大学のサークルメンバーだ。閉じずに残してある植林プロジェクト記事の写真にも、四人が社長や林野庁の課長さんと握手する様子が写っていた。

「昔からよく聞くでしょう。大学に入学して、勧誘されたサークルに参加してみたら、そこがとんでもないカルト団体の入り口だった。つまりそういうことです」

 刑事さんが目を剥いて立ち上がったが、比企は片手を挙げて座るよう促す。刑事さんが我に返って、倒した椅子を直して座った。

「で、この男が何者なのかというと、」

 比企は今度は、総務部メンバーの一覧を開いた。各地方の代表がひと頻り並んだあと、お尻の方に本部、とだけ書かれて出ている数人。

 その中に、比企と向かい合って座る男の顔と名前があった。

「玉石ナオキ君。おめでとう、名前がはっきりしたからな、これで君は誰かさんから誰々さんに昇格だ」

 男は驚愕の表情でぐちゃっと椅子に崩れ、刑事さんは血相を変えて内線電話に飛びついた。

 

 カルト団体と武装の歴史は長いのだそうだ。

 百年ちょっと前、一九九〇年代には、当時結構な規模を誇っていた新興宗教団体が、教祖の国会議員選挙落選をきっかけに先鋭化し、ロシアから武器弾薬を買い、適性ありと見込まれた信者に戦闘訓練を受けさせ、大学で化学を専攻していた幹部信者にBC兵器を造らせたのだそうだ。

「そうやって造ったガスを、地下鉄車両の中で撒いたんだ」

 それ以前にも以降にも、宗教団体に限らず、カルトとされる団体が武装したり、やくざ組織と親密な関係を持って武装したりという事例は、枚挙にいとまがないのだと、比企はチャーシュー麺特盛を啜りながらレクチャーした。

 宗教なんてろくなもんじゃねえや、と結城がため息をついた。

「うち、ばーちゃんがいっとき占いにハマってさあ。じーちゃんが病気して入院したり、かーちゃんが事故で骨折したり続いたもんだから気にしたんだな。叔母さんがそれ見て、気晴らしだってハワイアンキルトの教室に誘ったら、ピターっと縁が切れたけど。ピターっと」

 ハワイアンキルトすげえよなあ、とのん気なことを言っているが、いやそれ、たぶん目が行くところが変わって、壺買ったり石買わされたりしない人間関係ができただけだと思うよ。何にしても、ちょいちょいお世話になる結城のお祖母さんが無事で済んだのはよかった。

 付き合い方だな、と比企が茉莉花茶を啜った。

「個人としての生活にまで踏み込んで、何から何まで信心に基づいた生活習慣を取り入れろとか、生活もままならないほどのお布施をしろとか、言外に強要するようなものはカルトでありテロリズムだ。魂の自由まで差し出させるようなものは、叩き潰されて然るべきだな」

 私はロシアに帰れば正教のミサにも出るし、崑崙でタオを学んでいるが、曽お祖母さまにも師父にも、それでお小言をいただいたことはないし、きっとこれからもそうだろう。比企は言って、要するにそういうことだ、とチャーシューをもりもり食った。

 なるほど。確かに、夏に会ったじいやさんや李先生を見るに、そういう点で比企を育てた大人は、みんなまともな人達だったようだ。

 だがまずは当面の問題だ。

 カルトのご多聞に洩れず、例の団体、宙の箱舟もまた、着々と武装を固めているようだった。

 俺達は警察で玉石の事情聴取の様子を見たあと、そのまま桜木さんと比企も一緒に上海亭に流れて、飯を食いながら情報交換をすることにした。

「ヨロイと言ったんだな」

 まさやんが玉石から引き出したことを話すと、比企は間違いないか、と念を押した。

「ねえよ。強盗してかっぱいだ金で武器とか買うって自慢して、ヨロイも手に入るかもしれない、みたいなこと吹いてたぜ」

 な、と俺に確かめるまさやん。俺もうなずいた。

「軽機とかロケットランチャー買って、値段が折り合えばヨロイも手に入るかもって。俺も聞いた。人間が着るやつじゃなくて機動ユニットだって」

 そうかと比企は何やら考え込むと、ヨロイか、と呟いた。

「まさか人形付きとは思えないが」

 それからラーメンの残りを啜りこんで、スープを飲み干すと、追加で特盛青椒肉絲定食を注文した。

 人形ってなんだ? という疑問は、比企の携帯端末の着信音が鳴り出して立ち消える。オーケストラのジャーンジャーンという高らかな音楽に合唱。何これ。

「インターナショナルだ…」

 桜木さんがポツンと漏らす。検索検索。ハイ出ました。ロシア国歌ですってよ。比企はすぐに通話ONにすると、ふんふんとうなずき、ひと言ふた言返事をして切った。

 何かわかったのか? 比企は荒いため息を一つ。

「食事が終わったら行くぞ桜木警視。月島で街頭監視カメラが、逃げた二人の姿を捉えたそうだ」

 まじか。街頭カメラすげえな。

 

 差し入れの大盛り牛丼と大盛り麻婆豆腐丼とジャンボ肉まんにこれまたジャンボサイズのあんまん、一リットルパックのミルクティーを見ると、曖昧な表情でハラショウとひと言、比企は受け取って食い始めた。

 桜木さんはニコニコといつものように愛想よく、ありがとうと差し入れを受け取り、ハムとレタスのヘルシーサンドイッチの封を切る。

 ひと晩明けて俺達は、街頭カメラが警察から逃げ出したピエロマスクコンビの姿を捉えた場所から判断して、潜伏している可能性が一番高い、外国人バックパッカーや低予算で旅行する若者向けの簡易宿泊所を張り込んでいる、比企と桜木さんに差し入れの昼飯を持ってきていた。途中までは全員で来たが、あまり大勢で押しかけるとかえって目立つだろうと踏んで、俺が代表して差し入れを届けに来たのだ。

 さすがに桜木さんの愛車、GT–Rでは目立ちすぎるので、警察で目立ちにくい車を借り出したのだそうで、コロっとしたボックスタイプの軽自動車の、荷台部分で比企は退屈そうに大袋のポテトチップスをバリバリ食いながら、ぬるい目で外を見ていたものだ。

 俺達の差し入れを見ると、上海亭が恋しいな、と比企はボソリとこぼしてから、それでも礼は忘れずに受け取った。桜木さんも、野菜が欲しかったんだよねえ、なんておしゃれOLみたいなことを言って、レタスサンドと野菜ジュースで喜んでくれていて、とりあえずメニューについては外れていなかったようなので一安心。

 比企はあっという間に差し入れを食い尽くし、どうした、と俺に問いかけた。

「今日は八木君独りなのか。仲のいい貴君らにしては珍しい」

「みんな来てるよ。ただ、張り込んでるっていうから、目立っちゃいけないと思って俺が代表で来たの」

 忠広や源達はすぐそこの大通りに面したバーガーショップで、昼を食いながら待機しているので、そう答えると、そうかと比企は破顔した。ポケットから文庫本を出して読み始める。

 そのまま二、三十分ばかり、三人でのんびりと駄弁っていたときだった。

 三十メートルばかり離れた宿泊所の玄関から、短く刈り込んだ髪を金色に染めた若い男が、チラリと周囲を一瞬窺ってから、そのまま澄まして歩き出した。悠然と、鷹揚な足取りで。その数分後、今度は黒髪ツーブロックの別の男が、やはり同じように周囲に視線を投げてから歩き出す。同じ方向へ。

 比企が本を閉じて、後部ドアからするりと車を降りた。

「桜木警視、戦友諸君の回収をよろしく。近くの駅まで送り届けてから合流しよう。ポイントは追って連絡する」

 そのまま軽くとん、と路面を蹴ると、比企はもうすぐそばの電柱のてっぺんに飛んで、更に向こうの雑居ビルの屋上に飛び移っている。俺は慌てて仲間にチャット、桜木さんもエンジンをかけて車をゆっくり走らせる。一つ角を曲がって大通りに出ると、バーガーショップの前でまさやんや結城が気づいて、手を挙げ呼び止めていた。


 ダッシュボードにホルダーで取り付けた携帯端末の地図は、俺達の乗るこの車の位置と、比企の今いる場所をマーカーで指し示している。更に、俺の端末ではチャットルームにアクセスして、比企と音声通信が繋がっていた。比企からの通信では、二人は駐車中の車を盗んで月島から豊洲を抜け、有明へ向かっているという。車種はごくありふれた白い軽自動車で、没個性な分、それと知らなければ見逃してしまうだろう。比企が読み上げるナンバーを忠広が慌ててメモして、源が警視庁の軽犯罪目撃情報スレッドに、車の盗難を目撃しましたと通報する。その間にも、車を追う比企を示すマーカーは、有明に入りお台場方面へ移動していた。

「どんどんひと気のない地域に移動している。この様子を見ると考えられる目的地は、そうだな、」

 比企が冷静に分析しているが、今もまさに高層建築や工場、倉庫の屋根や屋上を飛び移りながら予測しているんだから、すごいというかおそろしいというか。

 桜木さんが運転しながらうなずいた。

「まず青海か、それとも新木場、若洲」

「あとは海の森を抜けて中央防波堤の先へ行くか」

「ということは、」

 桜木さんが気持ち顔を硬ばらせた。

「まさか」   

「そのまさかを、私は想定してる。だからこそ、防波堤のこちら側で押さえなくてはな」

 すげえ緊張感ですが、あれ、防波堤の向こうに何があったっけ。咄嗟に思いつかなかったけれど、桜木さんの言葉ではっと気がついた。

「治外法権に逃げられたらおしまいだ」

 ──そうか!

「あそこは一度潜れば、どこまでだって潜っていける。そうなったらもう、私独りで追いかけるしか手が打てないからな」

 治外法権、の単語に、全員が揃って悟った。そう、今の日本には、政府も警察も手を出せない、絶対的な禁足地があるのだ。

 その場所を、東京露人街という。

 そこはスラムであり、無法者がうろつく危険な街であり、科学と医学の最先端の地であり、およそ手に入らないものはないという商業の街であり、あらゆる娯楽を提供する歓楽街でもある。

 そして。

 比企もまたその一人である探偵の大半が、生活と仕事の拠点とする場所でもあった。

 実態はわからないのに、まことしやかな噂ばかりが囁かれる。行方不明の娘を捜してたどり着いたら、逃げられないよう両手両脚を切られ私娼窟に売られていたとか、売れっ子のアイドル歌手が、実はデビュー前に露人街で全身整形を施術されていたとか、大物国会議員が違法カジノでひと晩のうちに何億すったとか、そんなゴシップの類から国際的な政治スキャンダルの種まで、何でもありだ。

 そこへ行く方法は一つだけ。渡し舟だ。一日に数度、露人街と東京の間を往復する舟があって、それに乗ればどんな人間でも行けるのだそうだ。ただし、気楽に観光を楽しんで帰るつもりであれば、大通りだけを歩き、決して横丁に入ってはいけない。毛細血管のように張り巡らされた路地は、時折建物の増改築のおかげで、まるで様子が変わってしまうのだという。昨日まであった枝道がなくなり、知らないうちに別の道に繋がっていたりする。

 比企がどの程度、露人街に馴染みがあるのかはわからないが、確かにあんなところで自在に行動できるのは、特級探偵くらいだろう。いくらことの顛末が気になるからといっても、さすがにそこまで比企については行けなかった。第一、俺達がついて行ったところで、比企の足手纏いになって悪党に捕まって、臓器屋にでも売られておしまい、が関の山だ。

 案の定、比企は俺達が桜木さんに揃ってくっついていることに苦言を呈した。

「戦友諸君、今のうちだ、テレコムセンター駅でモノレールに乗って帰りたまえ。これまでと違って、相手も武装している。これ以上は危険だ。貴君らに万一のことがあってみろ、私はご家族になんと言って詫びればいい」

 その説得に、俺は反射的に答えていた。

「だが断る! 」

 その俺を、忠広が、源が、まさやんが結城が、深くうなずいてサムズアップする。ありがとう親友。

「だってこの前のアフダルさんだって、ライフル持ってただろ」

「むしろ比企さん独りでそんな奴らと対決させるとか、そっちの方がひどいと思う」

「その通りー! ヤギとまさやんよく言った! 」

「俺らなんだかんだ言って、いれば結構役に立つと思うの! 」

 全員が揃って意見を述べる。誰が独りきりにさせるか。俺達は悟っていた。比企はたぶん、独りになると平気で捨て身の無茶苦茶をする。少なくとも無茶苦茶をしかねない。だから、この世に繋ぎ止めるためには、とにかく孤独にさせずに仲間がぎっちり取り巻かなくてはいけないのだ。

 比企は荒いため息をつき、めるど、と漏らすと、仕方ないと不承不承認めた。

「ただし、みんな絶対に車を降りないこと。そして桜木警視は少しでも危険と判断したら、すぐに彼らを家へ送り届けてくれ」

「そういうことなら」

 桜木さんもうなずいて、この追跡行に俺達もついて行くことが決まった。

 窓の外では、既に日差しが弱々しくなり、もうすっかり夕方近い。冬の午後は、なんでこんなに日差しが儚げなんだろう。

 やがて、比企の現在地を示すマーカーが、東京港フェリーターミナル近くのコンテナ置き場の一角で停まった。同時に比企が状況を報告し始める。

 いよいよ状況が動き始めたのだ。俺はゆっくりと深呼吸した。  

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