Lv1のモンスターしかテイムできないと言う理由で追放されたが、どうやら俺はモンスターを進化させることができるようでスライムが幼女になっちゃた、でも、俺のパンツを下げるのやめてくれ!
第72話 帰ってきたメロス……メロン?(2)
第72話 帰ってきたメロス……メロン?(2)
一方、反対側に縛られたムツキの前に立つミーナ。
アリエーヌ同様に、ミーナもいやそうな表情を浮かべていた。
――こんな趣味の悪いことに付き合って、私に何かメリットがある訳?
自分は、アイドルである。
死刑執行人ではない。
いくら大金を報酬として提示されていると言っても、こんなことで、自分がいままで築いてきたアイドルのイメージが、血なまぐさいイメージに変わるのはゴメンだ。
だが、かといってアリエーヌ姫に歌と踊りで負けるのも癪に障る。
勝っても負けてもミーナにとってはマイナスしかない。
なら、この辺りで、さっさと手じまいして引き上げるのが得策かも……
会場の声援を味方につければ、マッケンテンナ家もあきらめるかもしれない。
ミーナは、それとなく会場の様子を伺った。
そんな些細なミーナの様子にマーカスたんは気づいた。
いつもミーナの一挙手一投足、喘ぐ表情までをなめるように見ていたマーカスたんだからこそ気づいたと言える。
マーカスたんは、ミーナに近づくと、そっと耳打ちした。
「この勝負に勝ったら、本当に自由にしてあげるよ。負けたら……分かっているよね♥」
その言葉に、ミーナの表情が硬直した。
プロのアイドルらしからぬ表情。
だが、この瞬間、どうしてもミーナはこの勝負に勝たなくてはならなくなってしまった。
――もう、あんな生活はイヤ……
「分かりましたぁ! ミーナ、頑張っちゃうから、みんな応援よろしくね!」
プロの表情に再び戻ったミーナは笑顔で会場に手を振った。
アリエーヌはミーナに耳打つマーカスの姿に唇をかみしめる。
何やら親し気に話すマーカスの笑顔。
アリエーヌの胸に何かムカムカとしたものがうごめいたのを感じた。
ここ最近、マーカスがアリエーヌに話しかける言葉と言えばエロワードぐらい。
優しい言葉の耳打ちなど、魔王討伐以来してくれたことが無かった。
学校に一緒にいた時のマーカスなら、心細い時に限ってそっとつぶやいてくれたのに……
それが今では、ミーナに耳打ちをしているではないか。
――どうして、変わってしまったのじゃ……
アリエーヌの心が引きちぎられるかのような叫び声を上げる。
――ワラワじゃ、ダメと言うのか……
そんな時、ミーナが笑顔で叫んだのだ。
「分かりましたぁ! ミーナ、頑張っちゃうから!」
この言葉にアリエーヌはギョッとした。
この女、何がそんなにうれしいのじゃ。
人の首が飛ぶかもしれんのじゃぞ!
しかも、正当な裁判でなく、余興のためだけに殺すのじゃ!
アリエーヌはミーナの言葉が理解できなかった。
だが、ミーナの傍らでその様子を嬉しそう、否、いやらしそうに見つめるマーカスの姿を見るとアリエーヌの頭は真っ白になった。
――あの女だけには負けたくないのじゃ……負けてはならんのじゃ……
そんな気持ちがはじけた瞬間。
「私もやるのじゃ!」
アリエーヌは大声を出していた。
待ってましたと言わんばかりに二人の様子を見たドグス。
火花散る二人の間に割って入る。
「それでは、このバトルの審査は魔王討伐の英雄! うちのマーカスたんにしてもらいまひょ!」
会場からの沸き起こる拍手が同意の証。
だれしも、正当なジャッジを下すだろうと期待していた。
マーカスはキサラ王国では英雄なのであるから、誰もがそう思っていても仕方ない。
調子に乗ったマーカスたんが、タップを踊りながら指を鳴らす。
「では、ミーナから! どうぞぉ!」
前奏が始まった。
ゆっくりとした曲調。
そのためか、ミーナの歌を聞こうと会場はしーんと静まり返った。
ミーナがマイクを持って、ステージの中心にゆっくりと歩いていく。
そんな時であった。
水を打ったような観客席から大きな女の声がした。
「ちょっと待ちな!」
ちょうど、タクワンを振り回していた親衛隊の後ろ辺りである。
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