第33話 なんでパンツを履いてない?(6)
かろうじて、目だけが下半身の様子を確認できた。
一体何が起こっているのだ?
どうやら、その五人の女の子が、俺の下半身を取り囲むように何かゴソゴソとしているのだ。
そのうちの一人の幼女が得意げに話をしている。
その話しぶりは、まるでリーダー気取りで少々おかしい。
「えーっとね、ココをこうするとね白い魔法の液が飛び出します。本当は赤い魔法の液の方がいいんだけど、それだと、死んじゃうからダメなのです。でも、白い魔法の液も成分的にはほぼ一緒だから大丈夫だよ!」
他の四人の女の子は、興味深そうに俺の下半身を囲んでうなずいていた。
一体何をしてるんだ……この子たち。
そうこうしているうちに、俺の下半身から何か熱いものがこみあげてくる。
とうとう辛抱しきれなくなった俺の意識は、そこでプッツリと消え、ブラックアウトした。
ベッドの横の窓から朝日が差し込む。
外では、スズメがチュンチュンと楽しげに鳴いているのがよく聞こえる。
俺は、その清浄なる明るさに抵抗するかのように、腕で目を隠した。
というのも、俺の体は、妙な倦怠感に包まれていたのだ。
気分的には爽快なのであるが、いまだに眠たさが取れない。
さすがに昨日はいろいろあって、体がまだ疲れているのかもしれない。
きっと体力の回復が間に合っていないのだろう。
この感じ……ちょっとエッチな本を見ながら男の本能に超絶従ったときに似ている。
それも、調子に乗って閉店まで連荘、打ち止めした時のような感覚だ。
しかし、変な夢だった。
5人の女の子が、俺の下半身に顔をうずめているなんて……
俺は欲求不満なのだろうか。
そう言えば、俺はまだ童貞のままだった……
本当に、童貞の妄想とは恐ろしいものだ。
5人の女の子に囲まれるといったハーレムを妄想してしまうとは。
いまだに女の子とキスすらしたことが無いのにもかかわらずである。
そう、妄想は自由なのだ!
これは空想!
ファンタジー!
だから、エロイことをしたわけでも何でもないのだ!
あぁ、今思えば、アキコさんと寝た時、キスぐらいしておけばよかったかな……
だが、俺は思う。
なんで俺はパンツを履いてないんだ。
上体を起こした俺は、自分の下半身をマジマジと見ながら思った。
上半身のシャツは着ているにもかかわらず、下半身はすっぽんぽん。
一体、俺のパンツはどこに行ったんだ?
俺は、パンツをはき忘れたのだろうか?
いや、昨日、風呂から出た時には、パンツをはいた記憶があるのだ。
さすがに、フルちんで寝るには少々気が引ける。
やはり、ブリーフパンツでしっかりと包み込まないと安心して眠れない。
だから、俺は、確実に白のブリーフパンツをはいたはずなのである。
なら、おれのブリーフパンツは一体どこに行ったのであろう?
キョロキョロとあたり見回した。
しかし、ベッドの上では、俺の足にまとわりつくように寝ているペンギンと子犬と子猫と子ウサギ、そしてレッドスライムの姿しかなかった。
気持ちよさそうな寝顔である。
おかしいな……
俺は、5匹のペットたちを起こさぬように、そっと足を抜くと体を起こした。
すると、ベッドの脇に寂しそうに転がるブリーフを見つけた。。
しかし、その場所は落ちたというには、少々距離がある。
どう考えても、誰かが投げたか、蹴っ飛ばしたかである。
ベッドから降りた俺は、いそいそとブリーフパンツを装備した。
ベッドの上ではいまだに5匹が丸くなって寝息を立てている。
もう少し、寝かしておいてやろう。
だけど……なんか少し大きくなってない?
そん訳ないよね……だって、一晩しかたってないんだもんね。
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