第32話 なんでパンツを履いてない?(5)
ペンギンと子犬たちを引き連れて倉庫に戻った俺たち。
真っ暗な倉庫の壁に備え付けられたスイッチを入れた。
倉庫の天井につけられた吊り下げライトが3つ黄色い光を放つ。
煌々と光る電気。
まるで、クラブエルフのネオンみたいである。
一体このランプ一つでどれだけのお金がいるのだろう。
そう考えるともったいなくは思ったが、すでに無一文の俺には怖いものがなかった。
後で請求されても、無いものはない!
10ゼニーだけ払って、土下座でもしたらいいやと、すでに開き直っていた。
その光の中で、子犬たちの体を見る。
汚い……
さすがに、今までずーっと橋の下で生活していたのであろう。
ススとホコリにまみれて真っ黒である。
俺は、倉庫に備え付けられた風呂に湯を張った。
ここの倉庫、なんとお湯が出るんだよ! お湯がすぐに!
今までのアパート暮らしの時は、水が入った共用タンクに火をかけて沸かさなければいけないんだ。
まぁ、集合住宅の強みは、共用タンクのため誰かが既に沸かしてくれているという事。
特に、両隣、上の階と変態さんばかりであった俺のアパートは、シャワーは必需品。
常に、誰かが、釜に火をくべてタンクの中に湯を沸かしていた。
だけど、この倉庫では俺一人。
だれも湯を沸かしてくれる同居人なんていやしない。
それなのにである。
湯が出るのだ!
驚くことなかれ、この湯、魔法電気で沸いているのである。
便利~♪
もうね、世界観変わるぐらいに便利!
畳1畳ほどの狭い浴室が、あっという間ににぎやかになった。
久しぶりのきれいな水にペンギンは狂喜し飛び込んだ。
子犬と子猫はギャンギャンと騒いでいる。
子ウサギは、恐怖でプルプルと震えている。
レッドスライムは、そんな状況が楽しいのか湯を出すシャワーの上に陣取り、リーダー気取りでいろいろと指図をしているようだ。
お風呂の湯が、あっという間に黒くなり、ゴミが浮いている。
これは、もう……俺は、浸かることはできないようだ。
俺は、シャワーの前を陣取り、5匹の魔獣たちの体を順番にごしごしと洗いはじめた。
そう言えば、森の中で生活している自宅暮らしの時も、ヒヨコたちと一緒によく風呂に入ったものだった。
いつもこんな感じでにぎやかだったな、懐かしい。
そんなことを思い出しながら、俺は、まず子犬を洗った。
俺は、子犬を洗い終わるとおもむろに抱き上げた。
メスか……
次は子猫の石鹸を流すと抱き上げた。
メスか……
今度は子ウサギを抱き上げた。
うーん……金玉ないな……この感じだとメスだな……たぶん……
最後にペンギンを洗うと抱き上げた。
分からん……
レッドスライム?
あぁ、あれはいいよ。あれは。
だって、あれは女の子だよ!
だから、名前はライムなの!
風呂から出た俺たちは、一つしかないベッドで一緒に寝た。
俺の周りで丸くなって眠る5匹。
疲れた俺はすぐに爆睡した。
その夜、俺は不思議な夢を見た。
ベッドで横たわる俺は、いつしか五人の女の子に囲まれていた。
しかも、なぜか、みな裸。
胸が膨らみ始めた三人の女子中学生と、一人の巨乳女子高校生である。
そして、残り一人がなぜだか幼女なのだ。
このシチュエーション……マジで、超エロイぞ!
イカン! イカン! 俺にはアリエーヌという思い人が……
って、これは、夢なんだからいいよね。
というか、アリエーヌは姫様だから、いくら俺が想い続けても無駄なのはわかっている。
だけど、そんな初恋を胸に抱いていても別にいいじゃないか。
などと、そんなことを思っていると、なんだか俺の下半身が熱くなった。
というのも何かぬるぬるとしたものが先ほどからまとわりついているようなのだ。
だが、俺の体は金縛りにあったかのように動かない。
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